HG anime さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
やさしさにつつまれてやさしい子が育つ
小学4年生の女の子、さくらちゃんが主人公の物語。原作は少女漫画とのことで、それは雰囲気からもよくわかる。これが放送していた当時は私は4歳だったので私より一世代前の人たちがリアルタイムで観ていたと思うが、小学生のころにはなぜかCCさくらという作品があることを知っていた。知名度はアニメ界屈指の作品だと思う。アニメは全70話あり、この1期は1話~35話。70話全部観てからここにまとめてレビューしようと思っていたが、全部観終るのはいつになるか分からないので、素直に35話までのクロウカード編についてをここでレビューしておく。
4月上旬から12月下旬まで放送されていたようで、作中でも現実の放送時期に沿って時間が流れていて、風景や服装が季節を通して変わっていくのが芸が細かい。加えてバトルコスチュームが毎話違っていて飽きない。物語自体は基本的に1話完結だけど、全体を通してしっかりと新しい展開が拡げられていくのがすごい。毎話とても優しい気持ちになれる話ばかりだった。何と言ったらいいか分からないが、『人類の理想の文化的生活模様』って感じ。大袈裟かもしれないけどね。小学4年生が家事を家族と分担してやってるとか、学校での何気ない日常や、ときどきある遠足やちょっとした事件のようなイベントが煌びやかに描かれていて素晴らしい。みんな優しくて余裕がある。真面目な話、こんな国民皆が幸せな生活ができるようになったのって、世界史を通してみてもちょうどこの時期の日本など一部の国くらいなもの。今はピケティのいうように、日本でも貧富の格差がどんどん広がって徐々にではあるが一億総中流ではなくなっていってるから、この作品の日常がよけいに眩しく見える。これからどんどんこの作中の日本から現実が遠ざかっていくと思うと寂しい。
特に気に入った話は16話。いいねぇ~。あのおじいさんはきっとさくらちゃんのおじいちゃんだったんだよね。
33話からは小狼がどうもさくらに恋心を芽生えさせているような描写があって予想外。こりゃ2期以降恋愛模様がどうなるかみものですわ。(シャオランって変換すると小狼になるのが草)
作画はアナログだけど、こういうタッチの画すき。さくらがステッキを回すシーンなんかはけっこう凝ってるし、毎話違うコスチュームなのに封印の時なんかも使いまわしの映像じゃないのがすごい。こういうのを作画がいいと言わずしてなんというのかと思うくらい上出来の作画。
音楽も文句なし。OPの『Catch You Catch Me』なんかはアニソンとして最高にキャッチ―でいい。この曲が話の中でふと流れるときとかテンション超上がるね。個人的には普段聞きする曲じゃないけど。他にも次回予告のBGMとかを含めて作中のBGMがすべて秀逸。知世ちゃんの『夜の歌』は最高にプリティだね。まぁ1期の音楽の中で普段聞きすると思った曲はBGM『やさしさにつつまれて』だけだけど、アニメの音楽として歌もBGMも全体的に素晴らしい。2期、3期にもすごくいい曲があるのを知っているので楽しみ。
女子小学生向けの少女漫画雑誌に載っていたとは思えないような、BLや百合まであるバラエティに富んだ濃厚な恋模様はすごい。冒頭で世代がずれているとは言ったが、私の小学生のときの同級生の女子はけっこうこの作品をコミックスで読んでいた人がいた。私がコロコロコミックスをなけなしの小遣いで買ってでんじゃらすじーさんが尻からちくわだすのを見て友達と馬鹿笑いしている時に、女子の諸君はこんな素晴らしい作品でいろいろと培っていたかと思うと穴があったら入りたい(この際ちくわの穴でもかまわん)。
小坊の男子が女子に勝てるわけありませんわこりゃ。
1期だけしかまだ観てないので、評価は保留にしておく。物語後半の36話~70話がまだ残っていると思うと楽しみで仕方ない。期待。どうやら原作の方はこの初夏から中学生になったさくらの物語が新連載開始されているようですね。また社会にひと風吹くのかしら。
2016/8/31
追記(2016/9/8)
36話~46話観終えました。レビューしようと思ってそれに該当するレビュー項目探したけどなくて、ここが1話~46話の項目だと初めて気づいたというね(笑) 適当な性格してるとこうなります(戒め)
第1話からときどきでてくるさくらの夢について掘り下げられていってシリアスな雰囲気になっていくのが今までの物語とギャップがあってすごく良かった。ユエが正体を現した時はびっくり! ケロべロスが選定してユエが審判を下すという2重の魔法使い資格試験だったんですね。
39話のミラーとお兄ちゃんのやりとり好き。お母さんも出てきていいね~。クロウカード編でのミラーちゃん登場回は2回あるけどどっちもいい話だと思う。
クロウカード編(1話~46話)の総評としては秀作といったところ。子供に観せる作品としては神作だと思う。でも案外、社会の柵に疲れた大人こそこの作品の価値が真に分かるのかもしれない。「絶対に大丈夫だよ」ってさくらちゃんに言われると全身の変な力みがとれるような感じがする。天使かな?
☆変更点:声優4.5→5