けみかけ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
マギアナの可愛さはシリーズ屈指!シナリオの迷走もシリーズ屈指?
アニメ『ポケットモンスター』シリーズ劇場版、『ポケモン・ザ・ムービー』第19作
『XY』シリーズとしては3本目、『XY&Z』としては初作品
同時上映は無し
突然空から降ってきたポケモン、ボルケニオンと鎖で繋がれてしまったサトシ
異常に人間嫌いなボルケニオンに徹底的に痛めつけられつつもめげないサトシは、ボルケニオンに無理矢理に超カラクリ都市アゾット王国へ連れて来られ、そこで魂を宿したカラクリ人形のマギアナと出会う
マギアナにはアゾット王国に隠された超兵器の鍵が隠されており、マギアナの恐ろしい秘密を隠し守り抜こうとしているのがボルケニオンだった
ボルケニオンは人間に捨てられたポケモン達を積極的に受け入れ、ネーベル高原に集めてマギアナと共にひっそりと暮らしたいだけだったのだ
アゾット王国の王子ラケルは王国と断絶してしまったマギアナとの和解を求めていたが、その影にはポケモンを道具としかみなさない冷酷な大臣、ジャービスが糸を操っていた
ラケルを止めるべく実の姉キミアとドサクサに紛れたロケット団も加わり、マギアナをめぐる動乱がネーベル高原を襲う・・・
とにかく今作の観どころはからくりポケモン、マギアナの可愛さにあると言って良いでしょう
ディアンシーの時もそうでしたが、マギアナは明白に【女の子】として描写されます
見た目からしてもそうなのですが、お洒落を楽しんだりサトシとシトロンに「重い」と言われて恥ずかしがったり、と自然に可愛い女の子として描かれてるんです
人語を介すポケモンでは無いのですが寺崎裕香の声色の芝居と相まってとても可愛らしいキャラに仕上がってます
セレナとユリーカが活躍しないこと、後述するキミアの魅力が皆無に等しいことも相まって“ヒロインは完全にマギアナ”ですね
これを必至に守り抜かんとするボルケニオンはまるで“ナイト”です
この二体の尊い関係性は良かったです
アゾット王国はクロックパンク的なカラクリ都市として描かれるので、その対比として北海道の大自然をモチーフにしたネーベル高原が人間と断絶したポケモン達の桃源郷として登場します
ネーベル高原は美しく描かれてますが、逆にカラクリ都市もめっちゃエコ?なんですよ
もっと自然破壊してそうな街として描いたほうが対比になったのでは?と思います
『裂空の訪問者』のラルースシティとかそんな感じでしたよね
「科学の力ってスゲー!」とテレビシリーズのお約束ネタは回収していただけましたが(笑)
中盤ではマギアナの魂を奪う、というシリーズでは希少な“死”の描写があります
ここはニャースの鬼気迫る状況説明のセリフと合わせて素直に泣けたのですが、間髪入れず「魂を戻せば元通り」などと言われてしまうのですぐ白けてしまいましたね
終盤でボルケニオンが皆の危機を救うため自爆を決める、というのも「やる必要無い」って説明してるのに自爆しちゃうんだから矛盾しかない
どうしても自爆させたいんなら説明要らないですよね
マギアナに次いでボルケニオンまで失ってしまったサトシ達は悲しみにくれるも、すぐ復活しちゃうボルケニオンに余韻は台無し・・・;
ボルケニオンという強力なポケモンを主役級に配しておきながら、バトルシークエンスで一番美味しいところを持っていったのがジガルデってのはファンサービスのつもりなんでしょうかね?
普段のテレビシリーズの作画が良いだけあってバトルの迫力は並程度ですかね
(知らん人の為に言っておきますがテレビシリーズ『ポケモン』は矢嶋哲生監督になってから日本一の作画アニメになってます)
トドメは声優
ボルケニオンの市川染五郎、ラケル王子の中川翔子、(ちょい役だけど)オニゴーリのあばれる君、は皆かなりイイ味出してました
でもキミア王女役の松岡茉優がド下手;
しかも設定説明はボルケニオンがしてるのでこのキミアってキャラは本当に必要?って疑問すら残りました
ラケルを改心させる為にキミアを配したのでしょうが、キミアとラケルは和解出来ましたがラケルが本当に和解しなければならないのはマギアナ、或いはボルケニオンのはずなのでは?
あとキミアの側近のフラメルさん可愛すぎでしょw
力を入れるトコロがおかしいw
なんなんでしょうこの映画;
YUKIが歌うエンドロールの曲とか悪くなかったです
これまでも『ポケモン・ザ・ムービー』の中には単調でつまらなかった作品が多々ありました
が、今作は逆に良いところを相殺するように突っ込みどころが多く、結果的にシリーズ屈指の迷作となったと思いますね;