101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
棺のある風景
原作ライトノベルは未読。
昔、マカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)で『ジャンゴ(邦題:続・荒野の用心棒)』という映画がありました。
棺桶を引きずって街にやって来た流浪のガンマン・ジャンゴが、
住民に、ここじゃ棺桶屋は大儲けだと煽られながら、
厄介ごとに首を突っ込みつつ、棺桶に隠し持った機関銃を掃射する大変素敵な?作品なのですがw
本作のチャイカちゃんが担いだ棺からおもむろに機杖(ガンド)を取り出し、
魔法弾をぶっ放す描写に、私は一人勝手にマカロニ魂の継承を目撃した気になり、
感慨に耽っていたのでありますw
棺とチャイカについて私が驚いた場面は、{netabare}チャイカちゃんが仲間の手も借りながら棺を担いで城壁をよじ登ったシーン。{/netabare}
いくら大切な棺だからといって、そんな所まで一緒に行かなくても(笑)
まさに棺ラブw棺命w
とかくキャラを彩る小物に執着するラノベと棺の愛に溢れたコラボレーションを堪能させて頂きましたw
そんな先入観でこのアニメを見た私にとっては、
本作の世界観から西部劇終末期の『ワイルドバンチ』等の空気も思い出しました。
もうフロンティアだのガンマンだのそういう時代じゃない。
平和な時代に取り残された描写に本作との共通項を見い出し、
勝手に哀愁を抱いていたのでありますw
実際、戦乱終結を宣言されたからって、人も社会も早々簡単に適応できるものではありません。
終戦により特殊な兵種・乱破師(サバター)として職業軍人になる目標が無くなり、燻っていた主人公青年を始め、
本作の世界各地には戦争向けの生き方、システムの残骸が片付けられずに転がっています。
そこから発火するエネルギーを上手く平和な社会建設に役立てられればいいのですが、
しくじればボヤでは済まないし、大抵、消火活動は上手くいきませんw
こうしたチリチリとした戦後ムードの表現から、
きっとこの作者は過去の名作などから、
相当良質な毒物を吸収して来られた方なのだろうなぁ、と尊氏は感じ入るのであります。
口調や語尾などでキャラ立てするラノベ伝統芸の継承も良好。
思えば私が本作を視聴しようと思ったきっかけも、
カタコトで機杖から魔法を炸裂させるチャイカちゃんの勇姿を宣伝したCMでしたw
ラノベの王道表現に潜む歯ごたえのある世界観により腹持ちもいい、“戦後”アニメの佳作です。