かしろん さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
つくりもの
【つくりものに涙する】
{netabare}アニメに出てくる人物は理想であったり願望であったりする。
それを極端な形でキャラに仮託するので
「んなヤツは現実にいねーよ」
ということになる。
で、それに対して、好きだの萌えだの嫁だの言っていると
「現実を見ろ、現実を」
となるのだが、まぁ、創造物のキャラ付けってのはそういうもんだ。
勿論、その裏には創造主がいるわけで、
「ロング金髪長い尖り耳の先駆者、ディードリット萌えー。ツンデレー」
に対して
「いや、中の人は山本弘だし」
などと突っ込むのはヤボってもんですよ、えぇ。
そんな訳で本作。
荒廃した世界を生きる男と、その世界に煌めく純朴で無垢な少女との出会い
と別れを描いた作品。
創造物であるアニメに出てくる少女が、その世界で創造されたアンドロイド
という、つくりものの中のつくりもの。
「なんか、純真無垢な存在を、アニメの登場人物という深さだけじゃなく、
そこに出てくる作り物という深さじゃないと仮託表現出来ないってのは、
中々に世知辛いものよのぅ」
などと、ふと、思ってしまった。
勿論、こういう系譜ってのは前からあるし、本作原作のエロゲメーカーKey
と双璧をなすエロゲメーカーLeafの「To Heart」にはマルチなんてのも
いるわけなんだけど。
創造物のロボットがみせる作られた純真無垢さに心動かされて涙する主人公
。
創造物のアニメを見て心動かされる現実の俺。
そうやって考えると、劇中で主人公に忠告したおっさん屑屋が
「ロボットには気をつけろ。話しかけられても無視しろ」
とか言ってたなぁ。
アニメに見入る、アニメに魅入られるって・・・
それでも、ソコに流れる涙は本物ですよ。
泣いてないけどね。
劇場版を以って完結らしいですが、5話分でも十分に楽しめました。{/netabare}