「NEW GAME!(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
1559
棚に入れた
7715
ランキング
204
★★★★☆ 3.9 (1559)
物語
3.8
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.1

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ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:途中で断念した

ゲーム黎明期とは伝説の時代? 分業作業の行き着く先とは?

いとも珍しいゲーム製作会社を舞台にした日常?アニメの様です。(4コマ漫画の)原作者の得能正太郎氏は3年間ゲーム会社に勤務した経験があるそう。

主人公の青葉はゲーム制作会社「イーグルジャンプ」のキャラデザ部に入ってきた新入社員という設定です。

ゲーム制作会社なのに、仕事してるのがほぼ(全員?)女子だけ。キャラデザがかわいいのは良いのですが、職場で下着姿で寝泊まりしてる人とか、社内健康診断とかでのこれ見よがしの肌の露出とか、百合描写とかにも閉口。ゲーム会社が舞台になっているという殻を被っているだけで、ゲーム開発の現場を描くという意味では余り内容の濃くない印象でした。

以下はゲーム好きが読んでも良いかも知れない雑記です。
{netabare}
今となっては昔話になりますが、ゲーム黎明期では海外でも日本でも、プログラマーがシナリオやシステムを発案する事が当たり前で、ドッターやミュージックコンポーザーまで掛け持ちしていた人がざらだったと言います。みんなで話し合ってゲーム開発に当たっていた様です。

古いゲームは今のゲームと比べると、ありとあらゆる点で規模が大きく劣りますが、整合性の面では際立って優れているゲームが数多くありました。現在のゲーム開発は本アニメで描かれる様な、ほぼ完全な分業体制の方式を取っており、その為、シナリオ、システム、グラフィック、音楽と高い調和を持った名作と呼べるゲームが生まれ落ちる確率は極めて低いものとなってしまっていると個人的には感じます。(だからライトユーザーは優れたバランスが既に確立している印象(保証)のあるマリオやゼルダ、ドラクエなどの続編に期待してしまう傾向があるのだと思います。)

現実では時間が取れないという理由もあるのでしょうが、本作でも部署同士の意見の交流の場面が殆ど描かれていません。(代表者同士の話し合いに留まり、キャラ開発部のアンケートとかによる総意は無い)自分達はそれぞれの専門家なのだから、他の仕事に口は出さない(出すな)という思いもあるのかも知れませんが、それが原因で変なゲームが世に出来てしまう例は現実では良くあります。

勿論、今も昔もまとめ役は存在し、プロデューサーがその役割を担う訳ですが、残念な事にその下にもそれぞれの部署を監督する人が何人もいて、その下にまた、というピラミッド構造であるらしく、末端の人達には他の部署で何が行われているのかさえ分からず、ゲームの根幹となる物語やシステムの概要さえ知らない人も出てきてしまうという始末。最悪の場合は各部署同士や、上下関係、監督する者とされる者の間で険悪な対立関係が生まれる事もあるそうです。スタッフの人数が多くなると、意思疎通の機会が少なくなり、ゲームの青写真を思い描く事が出来る人間がごく一部となり、相互の無理解が生じてしまうのがその主な原因でしょう。

本作に登場する人物達の、作成している(キャラではなく)ゲームに対する思い入れが希薄に感じられるのも、こうした現状と無関係ではないのではと思われます。主要人物の誰一人として、どの様な物語でどんなシステムのゲームが作られるのかという事について、全く言及しないという光景はある意味不気味ですらあります。

大作と呼ばれるゲームの多くは、上記の様なリスク過多な環境のもと製作され、多大な宣伝活動が行われた後に世に出るわけですが、それがクソゲーと呼ばれた日には目も当てられません。

ユーザーとしての一意見ですが、情報量過多で表現力が増すという事は必ずしもゲーム作品の価値を高めるには当たらず、どちらかというと異質なものを作り上げる助けになるという印象が強いです。

例えるならば、古典的ゲームが静止画(挿絵とか)と文字だけ綴られた小説や漫画だとすれば、近年発売されたの大作ゲームの多くが、制作費なんたらの大作映画(アニメ)と言う事が出来ると思います。小説にも漫画にも映画にも、それぞれに良い所はあるので、共存共栄して欲しいものですが、大は小を兼ねるだのというオカシナ考えがゲーム業界を席巻し、古典的ゲームのあり方が否定される様な事になれば、彼等の未来はその内、維持の難しいアンバランスな巨塔の様に、神の怒りに触れたバビロンの様に崩れ去ると想像に難くないです。

「ゲームは文化になりうる」かつて、かの有名な"高橋名人"こと高橋利幸氏がそうおっしゃっていました。ユーザーをないがしろにする製作者都合のやっつけ仕事的なゲーム開発、あるいは最悪の場合ユーザーを食い物にする様な様なゲームコンセプトを提示し続けるならば、名人の、決意すら感じられるその言葉も、過去の偉人の慟哭としていずれ風化の道を辿るでしょう。

最後に希望のある話を一つ。近年では若者を中心にレトロゲームブームが静かに沸き起こっているそうです。この様な潮流が製作会社の意向に影響を与え、製作側の古典的ゲームへの再評価に繋がってくれれば、ゲームの未来も安泰なのになぁと古参ゲーマーの私は願わずにはいられないのでした。
{/netabare}
想像していたアニメとは違う感じだったので、ここら辺で断念しておきます。

投稿 : 2016/08/20
閲覧 : 389
サンキュー:

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