Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「世界を革命する力をっっ!!!」
ツイッターで「リゼロ」に関するタイムラインを眺めていたところ、フォローしている方が「レム、ラムを見ていたらウテナが見たくなった」とツイートされていました。
もともとウテナはいつか視聴しようと考えていた作品だったので、きっかけとしてはこれで十分…
長丁場の作品ですが、お盆休み期間でもあったので視聴する事にしました。
原作は未読ですが、月間少女漫画雑誌である「ちゃお」で連載されていたようです。
「ちゃお」といえば、低年齢層向けの雑誌…というイメージを持っていたので、「革命」という少し勇ましいタイトルと雑誌のイメージに違和感を感じました。
でも、1997年と今から約20年前に制作されたこの作品のあにこれでの評価が、'16年8月18日時点で「総合得点75.4点」「ランキング305位」と決して悪くない数値を叩き出しているんです。
「この作品…きっと面白い…」と思い視聴を始めたところ、1話で驚愕の事実が発覚…
主人公であるウテナのCVって、川上とも子さんだったんですね^^
一声聞いてすぐにピンとくる独特の声質…俄然視聴に力が入りました。
幼いころに両親を亡くし悲しみに明け暮れていた少女は、白馬に乗った王子様に涙をそっと拭われると共に、薔薇の刻印の入った指輪を受け取ります。
王子様はその少女の憧れとなるのですが…王子様に憧れすぎた少女は、何を思ったのか自分で王子様になってしまったのです。
少女の名前は天上ウテナ…美少女でありながら男装に身を包む彼女はスポーツ万能で正義感が強い上、気高さを併せ持っているので女子中学生の人気の的になっていました。
白馬の王子様と再会したい…そしてそれは薔薇の指輪が導いてくれる…
そう信じて疑わなかったウテナでしたが、薔薇の指輪の本当の意味…薔薇の花嫁のために決闘するデュエリストである証である事を知り物語が動いていきます。
デュエリスト達が薔薇の花嫁…姫宮アンシーの事を一人の女性として大切にするなら、ウテナも決闘ゲームにのめり込む事は無かったのかもしれません。
でも…違うんです。
デュエリスト達は、自分の欲のために闘うんです。
自分の欲のために闘う事は、決して悪いことではありません。
その欲求は、全ての原動力たりえる訳ですから…
花嫁を賭けて激しい闘いを繰り広げているのに、いざ花嫁が手に入ったら本当に欲しかったのは花嫁にもれなく付いてくる副産物で、花嫁には何の興味も示さない…
それだけじゃありません…
薔薇の花嫁…姫宮アンシーは、決闘の勝者に絶対の服従を示すんです。
例えそれが自分の気持ちが微塵も無い人であっても…
それが何度自分の頬を殴った相手であっても…
それが薔薇の花嫁である宿命なんだと…
ウテナが姫宮のために全力を尽くす…
それだけの材料は十分すぎるくらい揃っていました。
でもウテナは姫宮の何を守るために全力を尽くすのでしょう…
この物語のポイントだと思います。
でも、デュエリストがみんな悪役ばかりか…と問われると答えはNoです。
最初は勢い任せだったかもしれません…
でも、人間には理性という抑止力があります。
その抑止力というダムは、日頃から様々な抑圧の流出を防いでいます。
でもこのダムは無限ではありません。
使っていれば汚泥が溜まって貯水能力が少なくなったり、一部の綻びがダムの決壊を引き起こす事だってあります。
そんな人の弱みにつけ込まれて…行き場を失った人が最後に辿りつくのが決闘場だった…だからデュエリストの闘いは苦しみの上に成り立っていたのかもしれません。
そして、物語の終盤…学園の理事長代行にして、アンシーの兄である鳳暁生が登場してからというもの、少女漫画らしからぬ展開は混沌と呼ぶに相応しい内容でした。
この展開の善し悪しは、完全に個人の判断によると思います。
個人的には、この理事長代行はあまり好きにはなれませんでした。
彼の登場でこれまでの登場人物が一気に変わってしまったようにも見えましたが…
そんなモヤモヤ感もウテナが見事に吹き飛ばしてくれます。
そして姫宮は決断します…その決断の気になる方は、是非本編をご覧下さい。
オープニングテーマは、奥井雅美さんの「輪舞-revolution」
エンディングテーマは、裕未瑠華さんの「truth」と上谷麻紀さんの「バーチャルスター発生学」
オープニングがアニメと曲ばマッチしていて最高に恰好良いです。
イントロが流れてクルクル回り出すウテナと姫宮を見るだけでテンションが上がってしましました^^;
このオープニングは絶対覚えたい…そう思える曲でした。
3クール全39話の作品でした。
それなりのボリュームのある作品ですが、時間をかけた分だけ見応えのある作品だと思います。
何よりウテナのイメージと川上さんの声質がマッチしていて最高に気持ちの良い作品でした。
引き続き「少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録」を視聴したいと思います。