runa21 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
全てを欺き生き残れ!!
世界大戦の火種がくすぶる中、
日本陸軍にD機関と呼ばれるスパイ養成学校が誕生した。
生え抜きを重んじる陸軍内において、
軍内部の人間ではなく外部の人間を取り入れ、
「死ぬな、殺すな」を徹底的に叩き込まれ、
様々な分野のスペシャリストを講師とし、
その技術と知識を仕入れた彼らは
世界中に潜り込み暗躍していく・・・
スパイと聞くと、
ジュラルミンケース持って美女をはべらしている
英国某機関の方が有名ですが、
それをイメージしてみてはいけません。
D機関は「生かすな殺すな」
ただしこれは、「スパイが目立つな!」という意味である。
彼らは当たり前のように別人の人生をコピーし、
その人に完璧に成りすまし、
情報を入手して、それを報告し、また別の人物になり替わる~。
というのを繰り返す
目立ってはいけないため派手なアクションはないし、
ドンパチも当然ない。
なので非常に地味。
スパイものでありながら、本当に地味。
正直このアニメを見た後、
やっぱりアニメだし、派手な仕掛けは多少なりともほしかったな、
と感じてしまいました。
ただ、
あにこれで、実写映画があることを教えていただいて、
そちらの方も拝見させていただきましたが、
そちらは画的に映えるためでしょうか、
結構派手なアクションをしています。
が、なぜか結城中佐の「生かすな殺すな」が
頭の中をぐるぐると駆け回り、(←洗脳されてる?)
・・・これは違うな・・・
(D機関の人間が目立つことしちゃダメでしょう)
と思ってしまいました。
映画そのものはとても面白かったです。
アニメや原作のつぎはぎにプラスして新キャラや、アクションも豊富。
アニメを見た方は、楽しめるんじゃないかと思います。
そして実写を見たからこそ、
アニメは、地味だけど、あれでよかったんだと思えました。
だって、D機関だから。
じゃぁ、この作品のどこをどう楽しめばいいのか・・・
それは多分「全能感」だと思います。
スパイたちの潜入中のドキドキや、
ピンチに陥った時の切り抜き方など、
地味なはらはらドキドキは確かにありますが、
どちらかというと、
頭のいい人たちが、その能力すべてを使って
全ての人間をだまし、ピンチを潜り抜け、
誰にも気づかれずに、また別の人間に成りすます。
時にはその情報や能力を使って
相手の足元をすくっていく様子を楽しむという、
まさしく「全能感」
これがこの物語の一番の魅力じゃないかと思う。
まぁ、性格の悪い自分には、
この物語から得られるこの感覚は好きなんですが、
他の人がどう感じるかは、保証できません。
情報を入手するために、一人で敵陣に乗り込むスパイたち。
自分の経歴を全て真っ白にし、名前すらも偽名で、
信じることができるのは、自分の能力のみ。
とても孤独な戦いだとは思うけど、
彼らは彼らで、だますことの達成感や
自分の手に入れた能力を使ってみたい欲求。
頭がいいからこそ、その力を最大限に使うことができるこの仕事は、
彼らにとっては、仕事なんかじゃなく、
それこそゲームをしているかのような感覚なのかもしれない。
そんな彼らの物語は、
どこか性格の悪さを感じつつも、
全てを欺く「全能感」があり、
地味ではあるけれども、惹きつけられる内容だった。