北山アキ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
超能力で始まり、大人力で終わる
原作未読
最後まで観て
最終話おもしろかった。
師匠も「超能力者が特別じゃない」と本気で思っているわけではないだろう。
超能力があるほうがふつうに特別なのは自明だ。
{netabare}自身もモブの超能力を使ってねじ伏せているわけだし。
でも、敵にそこの種明かしはしないで、正論をぶつ。
これぞ大人。
まともなことを言うことと、それを信じていることは全く別のことだ。
相手を説得するとか、自分のペースに持ち込むための方便として言っているに過ぎない。
常識論やら専門家の意見やらあっちこっちのロジックや権威を拝借しつつ、
その中にいかに自分の要求を潜り込ませて有利なポジションを取るか。
そういう駆け引きなのだ。
これって、世の多くの社会人にとっての常套手段だ。
たぶん、日常茶飯事だ。
しかし、それは真実を含まない嘘八百ということではない。
私利私欲にまみれた目的のためだけにしているわけでもない。
自社の商品で社会に貢献できるとか、誰かを助けたいという場合でも、そういうことをする。
つまり、何のためにそうするかという部分にカッコイイ大人とダメな大人の分水嶺がある。
師匠の大人力は「モブを助けたい」という本気の思いを実現するために発揮されたのだ。
カッコイイ大人としか言いようがない。
{/netabare}
6話まで観て
「ワンパンマン」は2話で止めたので期待していなかったけどけど、
こっちのほうが遥かに面白い(コメディ的にはあまり変わらないけど)。
持つ者の苦悩とと持たざる者の苦悩。
能力の使い方と伝統的倫理のすり合わせ。
スティーブン・キングを例に出すまでもなく、
これらは超能力ものに宿命づけられたテーマだ。
正々堂々とそこに切り込んでいるところが良いと思う。
もはやバトルものという括りは当てはまらなくなった。
師匠に代表される大人観が善くも悪くもリアルだったりする。