「PERFECT BLUE -パーフェクトブルー(アニメ映画)」

総合得点
78.1
感想・評価
656
棚に入れた
3059
ランキング
580
★★★★☆ 3.9 (656)
物語
4.2
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

アヤコ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

今敏監督にまんまと踊らされた!

もし、今からパーフェクトブルーを見る方に言っておこう。
この恐ろしく出来の良い素晴らしいサイコホラー作品は、今敏監督の初監督作品という事を…!

(私は今敏監督の新参ファンであり、パプリカ、千年女優、妄想代理人を視聴済みである。)


◉あなた…だれなの?◉

まず大まかなあらすじ説明だけをしようと思う。(ウィキ見た方が早いけどね)

主人公の未麻(ミマ)は、ちょっとオタク達に人気なアイドル。
全国的には有名ではないが、ミマリンと呼ばれ人気を博していた。
ミマはあるコンサートで女優になる為に、所属するアイドルグループを脱退する事になる。
実は、ミマはアイドルに窮屈さを感じていた為でもあった。
ある日、ミマはパソコンに《未麻の部屋》という名の身に覚えのないブログを発見する。
そのブログは誰かがミマの振りをしているだけだと思いきや、ミマ本人でなければ知らないような非常に個人的なものまで書かれていた…。
そして、ミマを中心に負傷事件や殺人事件が起こり始める…。

というもの。
なんと、アニメ初のサイコキラーものらしい。

20年前のアニメの為、絵柄やアイドルが古いのは仕方がないが何気に曲は名作揃い。
カラオケに無いのが残念である。

ストーリーについて。

伏線の回収やどんでん返しがとてもおもしろく、視聴者に背中をぞくっとさせる演出が上手い。

これからどうなるのか、犯人は何がしたいのかなどを考えていくとより一層パーフェクトブルーを楽しめること請け合いであろう。

◉パーフェクトブルーを見てない人はネタバレを見るのを死んでも、避けよう!◉

現実と劇中劇とミマの幻覚やら、妄想の区別がつかない時は、少々混乱するがちゃんと区別をつけるヒントが散りばめられている。

現実と妄想?を見極められた時ほどスッキリするものは無かった。

序盤のシーンで未麻の部屋を見た後、ミマは不安になって家のカーテンを開けて窓の外を見る。
もちろん、ストーカーがいるんじゃないかという疑惑の為であろう。

この時の窓の外の景色を、視聴者に擦り込ませるよう、より印象的に不安にさせてくる監督は罪深い!!!

アイドルをやめてスッキリしたミマが、自分のアイドルグループのポスターを剥がすシーン。

いつのまにか死んでしまった可愛がっていたペットの魚達。

しっかり目に焼き付けて覚えておこう!

次は、冒頭のシーンから登場している主要人物、Me-mania さんについて。
(本名はウィキにのってたけど、忘れちゃった)

ミマのマニアのMe-maniaさん。
彼は背も高く顔はハッキリ言って、宇宙人のような気味悪さ。

彼の薄暗い部屋にはミマリンのポスターがぎっしり…。
彼の世界はミマリンを中心に回っていた。

ここで興味深かったのは{netabare} ~ ミーマニアさんとルミちゃんの犯行の違いを見極める事。

作中では気の毒な事に数え切れないほど、ミマの周りで事件が起きる。

その事件の全てがミーマニアか、ルミちゃんのどちらかがそれぞれ行った事件。

恐らく、ルミちゃんは元アイドルの熱意をミマに自己投影して、いわゆるステージママの病んじゃったバージョンなんだろう。

最終的にはミマリンそのものになりきろうとするほどに。

そのため、ミマを穢す者たちをそんな目でミマを見ないでという事でアイスピックで滅多刺しという方法で人々を殺害していく。

恐らくこの殺人方法でゆけば、脚本家とカメラマン、ミーマニア、田所さんはルミちゃんが殺害したのだろう。

ミーマニアは、典型的なストーカーなので裏切り者がぎっしり印刷されたメッセージ、田所さんが間違って開けた爆発する手紙、ミマリンに缶を投げつけた男をひき逃げ、最後のミマを襲うところ。

ミーマニアがした犯罪行為は以上であろう。

ルミちゃんが黒幕だとは、気づかなかった。
鏡に映るはみ出た肉を物ともせず、かわいいアイドル衣装に身を包んだルミちゃん…

そして《♫恋はドッキドッキするけど、愛はらぁぶらぁぶするからァ〜♫…ね?完璧でしょう?》
ここで、ドン引き必須!

確かに汚されたミマに泣いたシーンは悲しいんだなと共感さえ出来たが、まさかこんな事までするほど病んでしまったとは思わなかった。

普段のルミちゃんのあまりにもしっかりしたマネージャーぶりが余計に混乱させた。

{/netabare}

大事な事柄なのだが、この作品はR–15。
海外では18禁。

それもそのはず、がっつりヌードや女性の襲われるシーンがあります。
殺害シーンは痛々しく、恐ろしいです。

その手のものが苦手な方はブラウザバックを推奨。

監督も襲われるシーンはやり過ぎたと反省する程、生々しいです。
死んでもまだマッサラな子供には見せないで下さい。
トラウマ必須ですから。

悲しいのは、ミマが素のミマでも普通に可愛らしい純粋な女の子という事。

下品な事を言う元メンバーとは違って、素直で頑張り屋で好感が持てる性格。
それだけに、ミマがアイドルと女優の狭間で衰弱していく様はなかなか辛いものがありました。

BGMは多くはなく、アイドルらしい曲なども使われますがその多くは目立ちはしません。
しかし上記で述べた通りかなりの名曲揃いですので。

私は今のところ、今敏監督の中で1番総合的にスキな作品です。

リアルと幻覚の違い、話のどんでん返し、ドキッとする巧みな演出、伏線の見事なまでの回収。

何をとっても初監督作品とは思えない程の完成度でした。

オススメです。

投稿 : 2016/09/26
閲覧 : 312
サンキュー:

7

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