にゃんちゅ(・ω・` さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
雨の振るときには思い出す恋物語
新海誠監督の6作目。
キャッチコピーは、「"愛"よりも昔、"孤悲(こい)"のものがたり。」。
この作品を観て思ったのは、まず綺麗な作品だなと・・・
恋のストーリーもくどくなく、
作画も、東京とは思えないほど綺麗な映像が続きます。
実際、都会の中でも自然に溢れる静かな場所、「新宿御苑」
そこが舞台になっているのも好印象でした。
作品は8割雨といってもいいぐらい、雨が続きますが、
雨といっても、どんよりしんみりした雨、さわやかな清清しい雨なんかの使い分けがしっかりしていて、
視聴者にそれを伝える描写を含めて、「綺麗な作品」だなと思ったわけです。
長くなりますが、ストーリーをふまえつつ、感想書きますね♪
{netabare}靴職人を目指す高校生のタカオは、雨の日の1限は授業をサボって、庭園のベンチで靴のデザインを考えていました。
そこで昼間からビールを飲んでいる女性、ユキノに出会います。
どこかで会ったかとタカオが尋ねると、ユキノは否定し、
万葉集の短歌を言い残して去っていきますが、
その短歌が「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
タカオも「は?」って感じだったと思いますが、私も「え?」でしたw
昼間からビール飲んでる女性なんて、訳アリなんだろうとは想像できますが、
その女性の表情も、雨雲がうつったかのような表情で…魅力的でしたな。
そんなこんなで、雨の日の午前だけの2人でベンチで会うようになります。
タカオは夢を語り、味覚障害を患うユキノは、タカオの作る弁当の料理に味を感じられるようになります。
夢を聞いたユキノはタカオに「靴作りの本」をプレゼントし、
タカオは今作っている靴をユキノのために作ることにしました。
このまま、雨が続けばっていう2人の雰囲気が、観ているこっちにも伝わってきて、
いい感じだな~っと微笑ましくなっちまった。
その後、梅雨が明け、しばらくの間2人は逢わなくなるんですが、
タカオは学校でユキノとたまたますれ違い、
ユキノが古文の教師だったこと、生徒の嫌がらせによって退職に追い込まれたことを知るります。
ユキノに好意を持っていたタカオは
嫌がらせをしていた女性のところに、乗り込みに行きますが、
その取り巻きの男子生徒に返り討ちにされボコボコに…
庭園に向いユキノに万葉集の返し歌を言います。
「雷神の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」
突然の土砂降りに遭い、2人でユキノのマンションへ行きます。
ユキノは濡れた服を乾かしながら、
タカオは2人分の料理を作りながら、2人とも今が一番幸せだと感じる瞬間。
いい笑顔でした・・・
そしてユキノへ告白するタカオ。
しかしユキノは地元の四国に帰ることを告げ、タカオは黙って帰ってしまいます。
ユキノは直ぐにタカオを追いかけますが、タカオは罵倒します。
自分の気持ちをぶつけたものの、出会った頃から大人の対応ではぐらかされて・・・・
タカオの言う「嫌い」は、自分自身へそう思わせようといった言葉だったんだろうな~・・・
ユキノも素直じゃないよな~…立場上しょうがないのかも知れないけど。
四国に行ってしまうしね…
季節は変わって冬になり、四国でまた教師となったユキノからは、手紙が来るようになっていた。
タカオは完成した靴を手に庭園を訪れ、
雨の日々を「2人とも歩く練習をしていた」のだと回想し、
「もっと遠くまで歩けるようになったら」ユキノに会いに行こうと思い
作った靴をベンチに置いていきます・・・
ん~…深い。
バットエンドなのかハッピーエンドなのかと聞かれると難しいのだけれども。
最後は、雨ではなく雪が降っているって言うのもなんだかグッときた。
個人的には、うまく歩けないと言っていたユキノが
転んでも 立ち上がって階段を駆け下りていく以降のシーンは、とても心に残った。(ベタかもしれないど) {/netabare}
たかだか45分程度の作品なのだけれども、
終わり方が爽やかに感じました。
また、万葉集の意味ですが、
{netabare}「雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
意味:雷が鳴って 雲が広がり 雨が降ってくれたら 帰ろうとしているあなた きっと引き止められるのに
「雷神の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」
意味:雷が鳴らなくても 雨が降らなくても 君が引き止めてくれたなら 僕はここにいるよ
雨が降ったら会えるのに、と考えるユキノに対し、
雨が降らなくても望んでくれれば来るよ、と思うタカオの気持ちが短歌に現れていますね。
寂しかったユキノの気持ちが伺える素敵な短歌です。
{/netabare}
「秒速」に比べて2人に距離が近いので、お互いの感情が掴みやすかったです。
観終わった後の余韻も残しつつ、改めて観てよかったなって思いました。