蒼い✨️ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
商人プレイ。
アニメーション制作:IMAGIN
2008年1月 - 3月に放映された全13話のTVアニメ。
【概要】
小説家の支倉凍砂が『金と香辛料』(ジャン・ファヴィエ著)からインスピレーションを得て、
中世の宗教・騎士・十字軍・生活・文化・都市・裏社会など様々な文献を資料にして、
作り上げたラノベが原作。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台とし、
20代なかばの旅の行商人ロレンス、狼の化身である『賢狼』ホロ。
一組の男女がイチャイチャと荷馬車で旅をしながら商業活動をするというお話。
行く先々の街で今の時代なら警察沙汰間違い無しの金銭トラブルに遭ったりします。
原作小説の1巻と2巻に相当します。
【感想】
ファンタジー要素として、ヒロインのホロが存在しているものの、
ドラゴンやゴブリンは存在しませんし、
世界を支配する魔王も伝説の勇者も存在しません。
魔術や神の奇跡といった類の現象も一切なく、
現実世界での産業革命期以前の中世のドイツ文化圏をモデルにした、
人と人との争い、それも商人同士の争いですから、
貨幣と知恵を武器にした争いです。
ただ真面目に中世の経済と文化を描いただけのアカデミックな内容であれば当然売れるはずもなく、
金の話をしたいだけなら青年雑誌の漫画原作にすればいいわけであります。
ラノベとしての体裁を保つために
わっち言葉にケモミミに大きな尻尾にと、ヒロインのホロに属性を盛りまくって大いにデコってる印象。
まあ、あれですね。でじこがネコ耳帽子をかぶって、語尾に『にょ』をつけてるのと何ら変わりありません。
このアニメを観る前は様々な国を巡る旅行記・見聞録みたいな内容を期待してたのですが、
西洋の限定された地方を動くだけで、期待値が高すぎたかな?と思ったり。
イスラムっぽい国とか、コンスタンティノープル(イスタンブール)みたいなものを観てみたかった気も。
ホロの狼の化身という設定が旅の目的につながってるものの、
ロレンスとホロとの出会いのエピソードを除いて、
展開的にさしたる意味があるように見えないのですよね。
このアニメのポイントは金銭的利益をめぐった攻防なのですが、
すぐに商売敵が裏社会特有の暴力的手段に頼りますから、
最終兵器ホロさんの圧倒的戦闘力でカタが付いてしまいます。
ん?ホロさんが狼の化身であるという設定とは主人公ロレンスが敗北しないための保険?
そんな展開を繰り返すとまたかい!ッて感じで、
法と正論と資本力でがんじがらめになったところを
商人の知恵と手練手管で何とかするという話が欲しかったと思ったり。
ホロの存在そのものが水戸黄門の印籠みたいなものでして、
その過程で暴力の魔の手による危険があっても、ホロさんがなんとかしてくれる!
というのが分かりきってますのでスリルをそれほど感じなかったり。
むしろ、このアニメで真に楽しむべきはやはり、
ロレンスとホロのイチャイチャなんでしょうな。
頭が切れて包容力があり仕事ができるものの、
完璧人間ではなくて内助の功による支えがいにがある男。
強くて賢い女傑であるが、一人の男にだけ小娘のように我儘言ったり甘える女。
しかも永遠に若いまま!
一筋縄ではいかない一組の男女がベタベタしすぎて、
カップル死ね死ね団にとっちゃ天敵みたいなアニメですが、
ハーレムアニメにありがちな展開に食傷気味の人にとっては、これぐらいが良いのかも?と思ったり。
観る前の想像で期待値を上げすぎて、こじんまりとした展開にがっかりしたものの、
イチャイチャ旅行記としては、ほどほどに面白かったのではないか?と思いました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。