shiyu さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
惜っっっ、しい
戦ったら死ぬ。戦わなくても死ぬ。契約した時点で死がほぼ確定している。あまりにも理不尽で不条理だ。
そんな状況の中でも大切なものを守るために、戦う。自分の命を差し出して戦う。
非日常に支配されてはじめて気付くこともたくさんある。力を手に入れてはじめて気付くこともたくさんある。
そうしてパイロット一人一人が戦う意味を見つける…。
ぶっちゃけ、子供たちの葛藤と成長をもっと見たかった。
特に物語の最初の方で死んでしまった子たち。
ヒーローになりたかったワクくんがこの「戦い」の仕組みを知っていたらどう思っただろう。死の恐怖と戦いながら、本物のヒーローになれたかもしれない。
死ぬことを受け入れられなくて、自暴自棄になってしまったカコくん。一番人間らしいキャラクターだったと言えるが、一番(作者によって)成長の芽を摘まれてしまったのは彼なのではないか。
「いずれ訪れる死を受け入れ、自分が今すべきことを果たす」これがこの作品のひとつのテーマだと思うのだが、彼は受け入れる時間すら与えられなかった。(実際、最終回でウシロが「カコも時間さえあれば」というふうに言及している)
「そんなに簡単に死を受け入れられないのが現実だ」と言われればそれまでだが、そう言うのはこの「戦い」自体の設定をリアルにしてからにしてほしい。
彼が登場人物としてこの作品の展開にどれほどの影響を与えた? これでは彼はチズを戦わせるための装置でしかないではないか。
アニメには尺があるから仕方がないことかもしれないけれど、もっと一人一人を掘り下げて、「死に様」じゃなくて「生き様」を見せて欲しかった。
「(ほぼ)必ず死ぬ」という設定も合わさると、ただ過酷な状況にある子供たちをお涙頂戴な展開で死なせるだけの作品と捉えられてもおかしくない。
鬱アニメと呼ばれているけどそれは設定のせいだし、ヒューマンドラマにしては振り下げが少ない。
好きだし何回かボロ泣きした(カンジの「15人で1人だったんだ」とか、仲間を思い出しながら戦うウシロとか)んだけど、惜しい。そんな感想を抱きました。原作読みます。