おぬごん さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
アニメオリジナルで後味が悪く…
都会に憧れる田舎っぺJC巫女さんと、喋るインテリ現代っ子クマのコメディ
アニメ化前から角川アニメで原作のCMがよく流れていてお馴染みでしたねw
いきなりですが、この作品の見所はヒロインのまちちゃんの可愛さ、文明や都会に翻弄されるまちちゃんの可愛さと面白さ、ナツの可愛さ、熊なのにインテリ現代っ子なナツのギャップだと思っています
これらが存分に発揮されていた序盤~中盤は、ナツに笑わされ、まちとナツの可愛さに癒やされ、とても楽しく視聴できていました
ユニクロやビレバンが実名で出てきてたのも良かったですねw(しまむら…)
毛色が変わったのは9話の「コマーシャル」
1話通してアニメオリジナル回だったそうです
この話では村おこしのコマーシャル撮影にわちゃわちゃする村人たちが描かれるんですが、正直言って、まち以外の村人なんてどうでもいいんですよね
別にこのアニメでよくある田舎者コメディなんて見なくてもいいんですよ…内容も面白くなかったし…
またこの話に限らず、やたらと松さんの登場シーンが多かったのも気になっていました
この9話を見た時に、スタッフはこの作品の魅力を理解してるようで若干履き違えてるんじゃないかな?と思うようになりました
その不安が終盤のオリジナル展開で的中してしまいます
被害妄想を爆発させるまち
卑しい内面を思いっきり叫ぶナツ
そしてKYだけど何だかんだまちを思いやってたはずなのに、まちを犠牲に村を発展させるとか、仙台で石を投げられたとか、とんでもないことを言い出す良夫…
そして心が壊れたまちをナツが嬉しげに抱きかかえる、共依存になったかのようなラスト…
終盤の展開を見ていて思ったのは、このスタッフにはギャグ作品に必要なバランス感覚が絶望的に欠けている、ということです
この作品を描く上で、まちのパニックっぷりはギャグで済むレベルじゃなきゃいけないんです…病気や障害に見えるレベルになっちゃいけないんです
良夫のKYっぷりも、まちへの思いやりが見えるシーンで相殺できるから「根は良い奴」で済むんです…まちを犠牲にするなんて言い出しちゃ台無しなんです
ラストシーンだって、もう一度まちが「やっぱり都会に行きたい!」って言い出さないので、もはやホラーチックになってしまってます…最終回ラストでやっていい終わり方ではありません
アニメ放送終了後、原作者が「良夫のあの発言」に「酷い」と最上級の苦言を呈していました
良夫のキャラを否定するまち犠牲発言か、仙台市民に対し失礼極まりない「仙台で石を投げられた」発言のことでしょうが(まあ恐らく前者でしょう)、言いたいことはそれだけでは無かったでしょう
アニメは通常、原作よりも多くの人に触れられることになります
たとえアニメオリジナルだったとしても、アニメで放送された描写や展開が、原作を知らない視聴者の多くにとって「公式」になってしまうということを、アニメスタッフには自覚してほしいものです
もちろん作品を理解した上で描かれる素晴らしいアニメオリジナルなら大歓迎なのですが…それは稀なのが現状で、寂しい限りです