にゃんた さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
EDも最後まで観るべし
★結論★
既存路線の枠から外れず、暴れない設定だが、それで良かった。
バランス良く、総じてレベルの高い秀作。
設定(理論)部分で付加価値をつけようとすれば、難解になり、分かり易さが犠牲になってしまう。
そのため、この作品は、それ以外の部分(キャラクター設定、心情描写)を充実させる方向で付加価値をつけたのだと思う。
全体を通してゆっくりと展開していくので、
人によっては単調だと感じてしまうかもしれない。
なるべく一気に視聴した方が楽しめると思う。
★以下、詳細★
どの作品を作るにしてもそうだと思うが、
このタイプの作品は、特に、物語の設定を作るのに相当の苦労が必要なのだろうと思う。
難しくなりがちな理論面では、ある程度の妥協をし、視聴者に分かり易く簡素化しなければならない。
その一方で、一定の現実味が無いと、陳腐な内容となってしまう。
「ちょっとありそうな・・・」と思わせる程度のリアリティも必要となる。
さらに、そうして出来た作品であっても、同様の手法で作られた過去の作品群と比較されることになる。
「単なる焼き直しだ」と酷評されないためにも、何らかの工夫をし、付加価値をつけた作品にしなければならない。
この作品はどうだろうか。
結果的には、設定自体からは、個人的には大きな発見や驚きは無かった。
終盤の展開からは、
どんなオリジナルな工夫があるのか鳥肌が立ったが、
その後、「ああ、結局あの映画と同じ枠内なのね」
と気づいたからだ。
(もちろん、オリジナルではあった)
もっとも、登場人物の心情描写と演出は優れていたと思う。
キャラが立ち過ぎていたことと、主人公の選択について説明不足だったことは不満だが、
それに目をつぶってしまえば、演出は上手く、しっかりと物語に感情移入することができた。
{netabare}
(特に、22話の演説は名シーンだと思う。そのセリフには、複数の意味が込められている。そして、さらに演説内容とは相反する複数の感情を含んでもいる。これを見事に表現した宮野真守さんの演技は賞賛されるべきだと思う){/netabare}
2011年の他作品では、世界観を大きく拡げることでオリジナルな結末を演出した作品がある。
それに対して本作品は、無理に世界観を拡げることをせず、既存の路線の中で、登場人物達の心情描写を丁寧に描くことで付加価値をつけた作品だと思う。
それのおかげで十分に楽しめた。
もちろん、物語の設定上も、ある程度のオリジナルな工夫がなされており、その点での大きな破綻がなかったことが、一気に視聴できた原因の1つだとは思う。
・・・ダラダラと書いてしまったが、
このタイプの作品の視聴経験が少ない方は、大きなインパクトを受け、相当楽しめると思う。
視聴経験の豊富な方でも、(おそらく)単純な焼き直しではない本作品の物語面での工夫が感じられると思う。
そして、心情描写と演出でしっかり感情移入できれば、更に楽しく視聴できると思う。