ワタ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
長文ですが、最後まで読んでくれたら、それはとっても嬉しいなって
※はじめに
旧レビューを読んでくれた方々には申し訳ないですが削除致しました。
やっつけレビューだったし、心機一転リフレッシュしたかったので、ご了承下さい。
大いに反響を呼んだ2011年最大のヒット作
蒼樹うめの可愛らしい絵柄からは想像もつかないシリアスな展開
既存の魔法少女作品とは一線を画す作風
この'ギャップ'が、作品がヒットした最大の要因であると考える
もちろんギャップありきでなく、他にも優れた要素はたくさんあります。
シャフトらしい無機質な背景絵、イヌカレーによる魔女空間、梶浦由記のBGMなどによる、
異質かつ魅力ある世界観の構築っぷりは圧巻
何一つ欠かすことのできない、様々な要素が絡み合った上で成り立つ作品のオーラに痺れます。
神回と言われる第10話、確かに凄かった
あの1話冒頭に"繋がった"シーンで鳥肌が立ちました。
「Magia」が流れた瞬間、脳汁が出まくりでした。
個人的に、作品のピークはここです。
で、賛否両論のラストに関して。
個人的には、全く納得がいきませんでしたw
スタッフはハッピーエンドのつもりで作ったそうですが、正気か?と思いました。
まどかの願いは正直、魔法少女にとって救いになってるとは思えませんでした。
魔女にさえならなければ、最後の瞬間まで希望を抱き続けることができる?
いやいや・・・そういう話の流れじゃなかったですよね?
寧ろ魔法少女(システム)そのものを否定する流れだったように見受けたのですが。
「魔法少女は夢と希望を叶えるんだから」
話の流れにそぐわない唐突なメタ台詞に正直吹きましたよw
魔法少女になってしまったばっかりに発生した、各キャラの悲劇じゃないですか。
どうにも根本の問題がすり替えられたような気がしてならない。
本編ラストを見ると、希望を抱いているようなキャラはおらず、
どうしようもない現実に対して、妥協して、無理やり自分自身を納得させてるように感じました。
絶望的な状況を打破しようと、必死に考えて、もがいて、あがいた結果なのであれば
この終わり方でも、多少は納得がいったと思います。
残念ながらそういった描写はあまり見られず、まどかもあの願いで満足しちゃってる様子です。
そして「何でも願いが叶う」というルールと「まどかに秘められた圧倒的潜在能力」
これらがあるせいで、他にもっと巧い方法があったのでは?と思えてしまうのです。
魔法少女システムの否定=QBが地球にやって来なかったことにする
この願いをして欲しかった。
QBが来なかったら人類は未だに洞穴暮らしと言いますが、それって確証はないですよね?
QBの人類に対する驕りって見方もできると思います。
まあスタッフ的には洞穴暮らしでFAなのでしょうが・・・
魔法少女(システム)=QBを否定させないが為のこの設定には、心底嫌気が差します。
あとQBは宇宙の延命の為とか言ってますが、なんじゃそりゃって感じです。
そんな気の遠くなるような未来の話、はっきり言って今はどうでもいい!!
具体的にいつ寿命が尽きるの?設定が曖昧過ぎてQB側にも正義があるとか全く思えない。
そもそもQBはノルマ達成したらあっさり地球を見捨てるような輩ですからね(後は君達の問題だ)
さやかは、想い人の腕が治らずとも、支えとなって再起を促す
杏子の家族は死なない(親父の説法の問題は家族一丸となって乗り切る)
ほむらはコンプレックスを自分の力、友達の支えで克服する
マミに関しては、契約しなければあのまま事故死していたという状況でしたが
本当に死んでしまうかは分かりません。あの後すぐに救助が来た可能性もあります。
ご都合主義でしょうが、個人的には全然許容範囲内です。
忌むべきQBによって与えられた奇跡や魔法なんかに頼らず、
人間一人ひとりの力を信じて生きてゆく。この方がよっぽど綺麗な終わり方でしょう。
まどかにはQBに「人類なめんな!」と宣言して欲しかったし、
少なくとも「魔法によって願いを叶えることの是非」について作中で触れて欲しかった。
この願いが失敗したら途方も無いBAD ENDでしょう。
でも本編の何とも無理矢理な、ハッピーに見せかけたBADよりは十分価値があると思います。
正直に言えば、放送当時これ程夢中にさせてくれた作品はありませんでした。
そしてそれは、結末への期待感が大きかったから、という理由が今思えば大半でした。
結末に納得できなかった以上、後に残ったのは怒りと失望だけ。
念のために言っておきますが、あくまで個人的に納得がいかなかったというだけで、
あのラストを含め、本作は00年以降を代表する作品の一つであることは言うまでもありません。
好きな作品ではなくなりましたが、自分の中に非常に根強く残った作品です。
※おまけ
本作品をBAD ENDと仮定した場合、ED映像がそれを如実に表していると感じたので解説します。
我ながら酷い脳内解釈とこじつけなので、スルーして頂いて結構ですw
・さやか、杏子、マミ、ほむらを華麗にスルーして歩き続けるまどか
まどかは彼女らが何に対して絶望し、どんな救いを求めているのかを知らない
(魔女にさえならなければ希望を抱き続けられる、という誤った考えを持っている)
・変身して、走り続けるまどか
背景で流れる白い光は、まどかによって救済?される魔法少女達の魂
・瞳の中で眠るまどか
過去未来、全ての魔法少女を救済し終えたまどかは、瞳の中で永遠に眠り続ける
概念になっても、元凶である魔法少女システムに囚われたままでいる、という暗示
映像ラスト、カメラが引いていくと人の顔のように見える
この不気味な顔は、魔法少女達を箱庭世界で弄ぶ、本作の悪の象徴
その正体は・・・脚本家の虚淵玄!(ごめんなさい、色んな意味で)