狗が身 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
誰が為に我は往く
私はTV版の視聴を途中で断念したクチなのですが、何故だかこの劇場版は楽しんで観ることができました。
どうも、私の中ではTVアニメと劇場アニメとで観方が変わってくるみたいです。シドニアの騎士という作品は、私にとっては劇場で観るのが相応しい作品でした。
本作は、ガウナなる謎の生命体との遭遇と戦闘が見どころなのですが、この戦闘シーンがすごい緊張感なんですね。
もう、息が詰まるようなぐらいで、まるで主人公達の感じているであろう恐怖とか、緊迫を共有しているかのような感覚に陥ります。
紅雀にシドニアのメンバーが惨殺していく場面の絶望感とか…。
約二時間の間で、こうした戦闘シーンと微笑ましい日常シーンの緩急が上手くて、満足のいく内容でした。とくに艦長のお茶目さが大好きです。
ただ、命の扱いが比較的軽い(というより、儚いという感じですが)わりには、人物のドラマがあっさり気味なのが少し勿体ないですね。
星白の死後にしても、あんまり長道への影響が少ないというか、星白エナに会うのを普通に楽しみにしている点とか、そもそも異性とのファーストコンタクトにしても結構難なく接している点とか、もうちょっと描きようはあったように思うんですよね。
サスペンス面では言うこと無しなのですが、フィクションとしてのリアリティーはもう少しだったような気がします。
長年ガウナと遭遇が無かった中で前触れなく死と隣り合わせの状況に置かれたのなら、環境の変化におけるキャラクターの心理描写とかも、もっと描いていってよかったと思うんです。
不満といえばそれぐらいでしょうか。
SFとしての面白味も充分に備えた良作だと思います。
これ観て思ったんですが、GANTZもこうやってCGアニメにすると面白そうですね。