Progress さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ゆめみのこころ
プロローグ(公式サイトより)
{netabare}
舞台は近未来。
全地球規模の人口超過と宇宙開拓の破綻が原因で、30年前に世界大戦が勃発。人口は激減し、厚い雲で覆われた地表では、止むことの無い雨が降り続いていた。
そんな世界にある自律型戦闘マシンが跋扈する危険な都市を、一人の男が訪れた。そして、身を隠すために侵入したビルの中で、ある施設を発見する。
プラネタリウム──昔、満天の星々を眺め人々が心を癒やした空間。そこで彼を一人の少女が迎えてくれた。
少女の名は「ゆめみ」。30年もの間、訪れる人が誰もなかったプラネタリウムで、客を待ち続けていた解説員ロボットだった。
彼は「ゆめみ」に乞われるまま、動かなくなってしまった投影機を直すために、時を忘れて修理を続ける。降り続く雨のなか、静かに流れていく「ゆめみ」と彼の日々…。
遠い郷愁のような毎日が彼の心を揺り動かす。人工の星空に、彼は何を想うのか?
そして「ゆめみ」の運命は──?
{/netabare}
感想 (ネタバレを多量に含みます)
{netabare}
【導入~屑屋の主人公はゆめみと出会い、プラネタリウムを修理する】
屑屋と聞いて、「井戸の茶碗」が頭によぎりました。まあ全く関係ないんですが。
さて、ほしのゆめみについて。
まず、ロボットと人間、そのズレ。主人公との会話中にもそのマニュアル的な対応が目に付き、感情表現はありますが、人を疑うということを知らない。そうすることはプログラムには無い。人のために作られて、決して人に危害を与えない過去の遺物は主人公にどう映ったのでしょう。
「はい、少しだけ壊れています」この言葉はガラクタの花束を主人公に渡した時の言葉です。確かにガラクタを渡したり、同じことを繰り返したり、壊れているように見えます。ですが、彼女が自分を壊れているとしたのは、それが理由ではなかった。
次に屑屋の主人公
性格は現実的で、余裕が無い感じ。
導入部分ではゆめみに対して、ロボットだからしょうがないか、どうせ理解できないだろうという感じです。
そんな主人公が、なぜかプラネタリウムを修理し始めます。
【プラネタリウムは直り、ゆめみは星空の世界への案内を始める】
主人公はゆめみとのやりとりで少しずつゆめみの事が分かり始めます。
少しずつ主人公はゆめみに対しての考え方が変わっていく。
館長たちは旅行に行って帰ってこないのだと信じるゆめみに、イラつきを覚える。
どうしてでしょうか。廃墟と化した都市に人が戻ってくることは無いと主人公は知っています。ゆめみがどんなに人間の帰りを待っていた所で、無意味になってしまうし、館長たちは捨てていったのに、こんなにも帰りを待っていることに、それはおかしいと怒りのようなものが沸いたのでしょうか。
ロボットは与えられた業務をこなすだけだと分かっているはずなのに。
一度は直ったプラネタリウムでしたが途中で電力の消失により、力尽き、ゆめみの案内を頼りに主人公は星を思い浮かべます。明瞭で、とても楽しい時間が流れます。
「神様、天国を二つに分けないでください」
ゆめみの願い事は死後の世界があるなら、ロボットと人が一緒になって、また私は、人のために働きたい、そう願っています。ゆめみは本当に人が好きなんだなと思えます
【廃墟の都市からゆめみを連れ出そうとするが、道中でゆめみは壊れてしまう】
一度はゆめみをおいて、廃墟の都市を抜け出そうとします。ですが、この廃墟の町で彼女を置いてきぼりにしていいのか?ゆめみがここにいても、客はもう二度と来ないだろう。彼女にまたプラネタリウムを案内させたい。
それくらい、主人公はゆめみに情が沸いてしまいました。
主人公はゆめみを連れ出します。どんなにゆめみが歩みが遅かろうと、その歩調に合わせて共に歩きます。
そして道中に、戦闘ロボットが現れます。主人公はゆめみを隠し、ロボットに戦いを挑みます。その最中、この都市を抜けた後、ゆめみとどう生きていくかを考えます。それは、とても楽しそうなゆめみとの将来です。
主人公は一旦は首尾よくロボットを破壊しましたが反撃により足をやられてしまいます。そして、戦闘ロボットに近づくゆめみ。戦闘ロボットがゆめみに気を取られた一瞬に、主人公は戦闘ロボットを破壊します。
どうして隠れていなかったかと問われるとゆめみは
「私達ロボットは人の幸せに作られていて、彼(戦闘ロボット)もほんとうはあんなことしたくなかったはずです」
ここでちょっと泣きたくなりました。ロボットは人の幸せのためにつくられている、そのルールから、そうプログラムされているだけだったとしても、ゆめみはロボットの心を思いやった。それは、ロボットとして必要なことなのか?
このとき、ゆめみのなかに「こころ」があるような気持ちになりました。
ゆめみは無くなっていく時間の中、走馬灯のように、来店したお客様を思い浮かべます。それは、プラネタリウムを見た人たちとの思い出。人が幸せそうにゆめみに話しかけている、楽しそうな思い出。
ゆめみは自分のプログラムが壊れているから、もう人は戻って来ないという結論を出しているんだと、思っていました。プログラムを否定する、人を好きというプログラム。それは、本当にプログラムなのだろうか?心なんじゃないだろうか。
ゆめみは嬉しいはずなのに、泣く機能があったら泣いているでしょうと言います。
心があるのだとするなら、別れに対して、心が泣いているんだと、そう思いました。
{/netabare}
長文を読んでいただきありがとうございました。とてもいいアニメでした。