STONE さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

既視感あると思ったら。。。

　原作は未読。
　男女が階段から転がり落ちて入れ替わりと、既視感のある始まりかと思いきや、実は
入れ替わりの要因はキスにあったと。。。
　既存作品をなぞるようでいて、それがミスリードを誘うためのものと、なかなか上手い
出だし。
　更に後でキスによる入り替わり能力は主人公である山田 竜のものではなかったと判明する
など二転三転する展開で、入れ替わりアイデア自体はよくあるものだが、そこからの発展の
させ方がなかなか面白い。

　その後も様々な能力者が登場するが、その能力は心に根ざしたものが多く、この手の作品は
割とその能力の影響による心情の変化など、シリアスドラマになりがちだが、この作品は割と
ドタバタコメディ寄りに振っているみたい。
　いずれの能力もキスによる能力発動のために、皆やたらとキスしまくるが、目的があるとは
いえ、好きでもない相手とキスすることにあまり抵抗がなさそうなのがおかしい。これは
割り切りと慣れによるものなのかな。

　主人公の山田はやや類型的なきらいはあるものに、前向きで行動的なキャラはやはり気持ち
いいもので、この手のドタバタコメディにはよく合っている印象。
　メインヒロインの白石 うららも一見おとなしそうでいて、結構肝が据わったところが多く、
そういった意外性が結構魅力的。
　この不良と優等生という反対の存在の組み合わせは結構王道パターンではあるが、山田に不良
グループ仲間がいるわけではなく、白石もクラスの人気者というわけでもなく、共に孤独な
存在であるという共通項があったりする。
　そういう意味では似たもの同士という部分もあるわけで、その辺も互いに惹かれ合う要因の
一つだったのかな、という気もする。
　きっかけはトラブルとはいえ、二人に接点ができたことから、能力を巡る交流の輪が広がる
形で楽しい学校生活が送れるようになったのは観ていて好ましいものがある。

　12話で七人の魔女全員を出さなければいけないためか、最後はきれいに締まったものの、
なんとか押し込んだという感も強く、途中過程をもう少し見たかったという感も強い。
　OP、EDが無く、主題歌を劇中で流す回が多かったのも、やはり時間が足りなかったのかな。
　その分、良く言えばテンポがいい印象もあったけど。

　他作品のレビューでも何度も書いたけど、人格入れ替わり描写は声優さんの腕の見せ所という
感が強く、本作品は特にそれが顕著。
　その中でも入れ替わりが多かったせいか、白石役の早見 沙織氏が特に印象に残った。