oneandonly さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
デレばんの魅力に持っていかれる作品
世界観:7
ストーリー:8
リアリティ:7
キャラクター:9
情感:7
合計:39
文研部に所属する五人、八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文は、奇妙な現象に直面していた。前触れなく起こった青木と唯の“人格入れ替わり”。。。
それは次々と部員全員に襲いかかり、彼らを異常な日常に放り込む。
戸惑いつつもどこかその状況を楽しむ太一たちだったが、心の連鎖は彼らの秘めた心の傷をも浮かび上がらせ…。
平穏が崩れたその時、五人の関係は形を変える!
(公式HPより)
あにこれでキャッチしている方の本棚でよく見かけるので気になっていて、総合評価も高く、放映時期でもSAOの2位ということでそろそろ手を伸ばしてみるかと思い、視聴しました。
冒頭の主人公(太一)の妹のロリ声には断念しないか不安になりましたが、その後のストーリーで持ち直してくれました。
この作品を簡単に説明すると、心と体が入れ替わってしまったり、思っていることが伝わってしまったり、といった超常現象を設定にすることで、登場人物の心をさらけ出させ、人間関係がおかしくなりつつも、仲間と一緒にそれを乗り越えて成長していく物語と言えるでしょうか。文研部の女子は全て心を閉ざす場面がありました{netabare}し、特に14話からの伊織のエピソードは胸が痛かったです。
原作では他にも様々なランダム話があるようですが、派生した物語を作っていける創造性に優れた設定であると評価し、世界観の配点はMAXとしました(作画と音楽のボーナスがないため8点)。ふうせんかずらが何者なのか、意図は何だったのかは分からず終いでしたが、この作品において設定を司る神のような存在ですので、無視してよいでしょう。
物語の評価は基本、次が気になる作りでほとんど最後まで楽しく視聴できたので7点以上がベースとなります。全体的に部員5人それぞれにスポットが当たって、それぞれの悩みに向き合う構成となっています。伏線の精緻さなどは感じなかったので、高得点にはなりませんが、最終話において、恋愛部分をしっかり落ち着かせたことを評価して8点としました。{/netabare}
凪あすレビュー時に書きましたが、恋愛ものはあまり好みませんけど、この作品の恋愛の比重と現実にありそうな心情描写は見ていて苦痛になることはありませんでした(恋愛以外の場面で苦痛になることがある作品です)。また、萌えがウリですというようなアニメは嫌いと公言して憚りませんが、この作品の稲葉には萌え悶えてしまいました(苦笑)。外見や声ではなく、中身で表現しているのが良いのかも。
{netabare}4話の問題発言、5話のキス、6話の欲望開放で存在感が際立っていき、10話の告白で完全に持っていかれ、更に17話の感情伝導とデレに歓喜するといった流れでした。この作品、微エロ要素も結構多いのですが、それをクールキャラである稲葉が主導することで受け入れやすくなっているのも巧いです(16話の恥ずかしい話は流石に余計だった気もするが)。
Wikiによれば、11歳〜22歳が投票者の3/4を占めるライトノベル誌「このライトノベルがすごい!2013(2012年12月発売)」では、作品ランキングで15位のところ、キャラクター部門では女性キャラランキングで稲葉姫子が3位(男女総合6位)にランクしたとあり、私と同じように持っていかれた視聴者が多数いた模様。{/netabare}
惜しかったのは音楽と作画。音楽はカコランダムのEDが引っ掛かった程度で、全体的に印象は薄かったです。作画やキャラデザも悪くはないですが最近の優れた作品の中では並かなと。この2項目はあにこれの評価項目でもあるため、あにこれの評価も上がりにくいのでしょうね(それだけに隠れた名作になってしまっているかも)。
{netabare}リアリティは、心情描写の多い作品で前述のとおり評価もしていますが、行動や発言が理解できない場面もあるため7点。
キャラクターは、稲葉姫子の存在と心情描写が多いことを評価して9点(キャラデザのボーナスなしでのMAX)。
情感は、涙が止まらないシーンまではなかったので7点。ということで。{/netabare}
それほどメジャーな作品ではない気がしますが、シリアスは望むところの、人間を抉り出そうとする作品が好きな自分は楽しめました。
アニメを見ない層にまでおすすめするのは恥ずかしい気がしてしまいますが、あにこれ参加者にはおすすめできるのではないかと。
<2019.1.10追記>
当初見た時は初めて見る設定だったこともありましたが、類似作品もいくつか視聴したので、世界観のポイントを下方修正しました。
私は稲葉側に立って見れたことが大きいのでしょうが、これでもまだまだ高評価。
ふうせんかずらが仕組む設定に翻弄され、5人の心が露わになる面白い作品ですが、終盤視聴が苦しいシーンもありましたね。
(見直したら、序盤の稲葉の問題発言で既にもってかれたわ!(笑)再視聴でもどんどん見てしまう面白い作品です!)
(3話3.8→4話4.0→5話4.2→10話4.5→15話4.4→17話4.5)
(2016.7視聴)