sekimayori さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これぞ、萌え。 【85点】
青森・弘前を舞台に、新米魔女と居候先の家族・友人たちの穏やかで少し不思議な毎日を描くファンタジー系日常アニメ。
こんなにも和やかな、日常の連なりのみが描かれるアニメも珍しい。
同時に、こんなにも画面から目を離せないアニメもまた、そうは無いでしょう。
登場人物の体験する、すべての一瞬の豊穣さ。
登場人物の作り出す、すべての所作の流麗さ。
一心不乱にそれらに溺れる、この言語化不可能な快感。
その中で、十人十色の人間性や温かい関係性、世界の美しさ(あと、作り手のフェティシズム)がくっきりと伝わってくる。
これを「萌え」と言わずして何と言おうか?
animation(animate=命を吹き込む)の視聴者として、とても豊かな時間をもらえた幸せが残ります。
ということで、ふらいんぐうぃっち。
私にとって、最上級の萌えアニメでございましたm(__)m←感謝の土下座
■キャラ萌え
なんかね、本作の登場人物って実在感があるんですよ。
{netabare}
まず目を引くのが、丁寧に描写されるキャラの細かな動静。
靴を脱ぐ、正座する、膝立ちになる、おじぎする、髪が流れる、手をつなぐ、寝そべる手を打つ服を着る……。
普通省略されるような仕草を描いたカットが、バンバン出てくる。
同時に、一つ一つの所作がキャラの性格をちゃんと反映していて。
丁寧で少し抜けた真琴は淑やかに繊細に、元気印の千夏ちゃんは活発・機敏、大物感とだらしなさが同居する茜姉は余裕をもってだらだらと動くのですよ。
これは動物にまで徹底していて、チトさんの、猫ならではの優雅さ、のんきさと気位の高さ、それらをもってしても抗えない野生の本能(ネズミは卒業できても、キジや蝶は卒業できないのねw)の再現性たるや。
猫アニメとしても、きっと最上級の作品だよなぁ。
そうした挙措から醸し出されるのは、手触りのある生活感です。
作品世界に彼ら彼女らが確かに存在し生活してる、その息遣いすら錯覚させられるほどの。
原理はわからないんだけど、キャラが活き活きと、自分の意思や性格のままに生活してる様を観てるだけで異様に嬉しくなるのは、私だけじゃないはず。
あと、ちょっとハレンチなことを申しますと、女の子の描き方がすげーエロい。
そっちの意味でのフェティシズムが画面に横溢してます。
{netabare}黒スト、縦セタ、Tシャツ、ぴっちりローブといった、体型が出やすいアイテムを無防備な女の子に着せることによる、表のフェティシズム。
女の子の所作の再現を追求することで立ち現れる、裏のフェティシズム(これが千夏ちゃんにまで及んでるのは、ちょっとヤバいかも)。
露出の少なさに反比例する淫靡さは至高、もとい、目の毒だと思うですよ(・ω・)ブヒ {/netabare}
{/netabare}
■関係性萌え
一人一人のキャラはいわずもがな、人物同士の距離感も大好きなんですよね。
{netabare}
チトさんや茜は真琴を導くだけじゃなく、気ままな自由人ゆえにちょくちょく迷惑もかける。
圭くんや那央ちゃんは意外とサバサバしてるし、倉本家の両親は皆をそっと見守る。
魔女の先輩たる犬養さんや杏子も、まだ知り合ったばかりの硬さは残しつつ、真琴たちを受け入れ、また受け入れられてる。
仲は良いけどベタベタしない、緩い連帯感が心地いいのです。
そして、そんな皆を繋ぐのが千夏ちゃん。
日常と魔法の境界を軽々と飛び越え、持ち前の好奇心でどこにでも顔を出す。
で、無邪気さを武器にみんなとスイスイ関係性と繋ぐのです。
その姿が(憧れ含みで)とても心地いい。
しかもこの子、仲良くなった人には、すーぐ物理的にくっつくっていう。
子供ならではのパーソナルスペースの狭さなのか、天性の人たらしの才なのか。
なんだか、日常を生き日常を感じるという作品コンセプトに通底する、身体性への賛歌を感じて。
「幼女まじ尊い」なんて邪念も浄化されますね。
嘘ですけど(・ω・)
{/netabare}
■世界観萌え
日常は時に魔法よりも美しく。
魔法は時に日常よりも穏やかに、しかし根底は不可思議で力強く。
そんな世界観にも魅了されます。
{netabare}
日常面では弘前の自然、実に美味しそうな食べ物の描写が、これまた作品世界の実在感を担保します。
その魅力を損なわないよう、魔法の提示の仕方も、日常に溶け込んだ他愛ないものがメイン。
一方で、「魔法」という違和感をばっちり備えた大技もセンス良く効いていて。
犬養さんをケモナー大歓喜キャラにしてしまった魔法薬の危うさ、世界遺産ハロン湾を水墨画に塗り替えてしまう豪胆さ、クジラの圧倒的な浮遊感・スケール感は、紛うことなきファンタジーです。
ゆったりと流れる狭い日常と摩訶不思議で広い世界がゆるやかに連結している実在感は、優れたファンタジーのみが持ち得るもの。
それを実現した技術面も、素人目にも素晴らしいもの。
弘前の澄んだ空気すら感じさせる、透明感ある美術。
キャラの服装の質感から食べ物に至るまで、リッチな撮影も溢れています(ふきのとう天とホットケーキは白眉)。
魔法方面ではCGも大活躍。
細々した魔法道具から、いかにもなクジラ、土魚まで、違和感なく2Dと3DCGが組み合わさっているのが印象的でした。
{/netabare}
EDの曲名は、「日常の魔法」。
日常の美しさにセンスオブワンダーを感じ、穏やかで強大な魔法にセンスオブワンダーを感じ。
そんな日常と魔法との曖昧な行き来の中で、キャラクター達は和やかに楽しげに生活し、そしてほんのちょっぴり、成長する。
(魔法界の住人と人間関係を結べるようになった千夏ちゃん、料理を克服しつつある那央さん、迷子にならなくなった(?)真琴。
あ、圭くんはもう女子力上げなくていいです、つーか羨ましすぎる滅びろ)
それこそが「日常の魔法」なわけで。
視聴者もその営みを見守る中で、日常を、魔法を、そして登場人物を好きになれる、好きと言うその感情に癒される。
作中での日常と魔法の、キャラ同士の交流の愛おしさがそのまま視聴者に響いてくる、最終話の茜の言葉通り、最高に居心地のいいアニメでした。
ちとベタ褒めしすぎかな?
でも萌え豚として最高に萌えたんだから、いいや。
ちなみに好きな話数は4、7、11、12話です。
【個人的指標】 85点