しゅりー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
A HAPPY NEW YEAR ~おかえりなさいと言える場所へ~
佐藤順一さんが原作、監督、シリーズ構成を務めるオリジナルアニメです。
2010年のOVA「たまゆら」と物語を共有していて、
OVAは本作の1話と2話の間とのことです。
本作から視聴しても問題はないかもしれませんが、
100%楽しむためには先にOVAを観ておいた方が良いと思います。
1話はOVAより前の時間のために竹原が舞台ではなく、
少し雰囲気が違うように感じますが、ぽってこと楓の引越が決まってから先は
OVAのような優しい世界が広がります。
視聴していると楓たち竹原の4人の好きなことは5感を表していると気付きます。
楓の写真、かおるのポプリ、のりえのスイーツに麻音の口笛や朗読。
そうすると5感のうち触感だけ足らないんじゃないかなと思えますが、
そこを補うのはアニメを観た人達なのでしょう。
アニメを楽しんだら、是非竹原へ来てください!というメッセージを感じます。(※)
それをしっかり表現するように街角の様々な風景に温かみがあり、
周囲の人々のそれぞれの優しさが心に沁みるように描かれているアニメです。
※ぬいぐるみを作っている横須賀の楓の友達、ちひろの存在も大きいです。
優しく温かい場所に訪れるのは不器用だけど触れ合う事を大切にしている少女でした。
全12話、ゆったりと時間が進んでいくので人によってはダレてしまうかもしれませんが、
夢や将来の目標も定かではない少女達の葛藤と、それぞれが大切なモノを考えて
自分で生き方を決めていく過程が丁寧に描かれています。
楓達が大事なことに気付いた話などで「星空」や「あしたの陽だまり」などの
特別なEDが流れる演出は作品内でも大切な時間が流れていることがわかり、好印象です。
最終回のEDで、楓がこれまで過ごした時間が竹原で暮らす楓の日常を残しておきたい
大切な宝物に変えたように思えて少しウルッときました。
とても日常的だけど、現実にはそう味わえない平穏で暖かな物語ですので、
観る人を選んでしまう感は否めませんが、現実の暮らしに疲れている人にこそ
観てほしい良いアニメだと思います。