明日は明日の風 さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
二つのまったく違った純愛模様、描かれたものは…
「どうして この作品を選んだの」
「どうして この作品に感動しているの」
「どうして この作品で涙を流しているの」
「どうして この作品に怒りを覚えたの」
「どうして この作品に疑問が湧いたの」
「どうして この作品を否定するの」
「どうして この作品がいいと思ったの」
「どうして この作品に未練が残るの」
「どうして この作品の評価が高くなったの」
「どうして どうして どうして どうして どうして…」
「答えようか それは、君がこの作品を愛してしまったからさ」
はっ!シャフトのしつこい台詞調になってしまった…またも影響が…
一期に続いて視聴しました。
シャフト描写にやられ、見ているうちにこの恋愛模様に感情移入が激しくなります。恐るべしシャフト…
一期と同様に二つの物語が同時に進行するのですが、こちらは現在と過去の話に分かれています。一つは物語の中心人物である火村夕と雨宮優子の過去の話。もう一つは夕の高校の同級生でヴァイオリニストである久世修一と、一期でヒロインの一人であった新藤景の後輩、羽山ミズキの現在進行形の話。
夕と優子の話は{netabare}とても切ないです。夕は震災で妹を失い、優子とは孤児院で出会います。優子は夕の妹になることを望みますが、夕とは分かれます。夕は一人で上を目指したのです。優子は同じく震災で妹を失った男に引き取られます。その男に優子は奪われます、女性としての大切なもの、生き方まで含めて全てを。
高校になって夕と再会し、夕を恨みながらも(といっても、夕には夕の重い重い事情あるのだが)しだいに惹かれ、二人は結ばれる。結ばれる間もいろいろあのですが、それは視聴してください。そして、最後、優子は交通事故で亡くなります。夕はずっと、ずっと引きずって生きてきたのです。{/netabare}
修一とミズキの話は{netabare}鬱全開です。修一は生存確率の極端に低い心臓疾患に冒されます。ミズキは修一が好きになり、修一もまたミズキを意識するようになります。修一は全てを捨てて死ぬつもりでいました。それでもミズキは修一に近づこうとします。それを振り払おうとする修一。
最後はミズキに思いの全てを打ち明け、ミズキのために生きる決心をします。そして手術は成功。ただし、その手術はあくまでも少し寿命を延ばしたに過ぎませんでした。それでも修一はミズキのために、生きるだけ生きていこうと歩み始めました。{/netabare}
一期、二期、全ての恋物語が完結したとき、一つの奇跡が起きます。{netabare}それは夕と優子の再会。本当の完結はここにありました。事故で亡くなった優子と夕が残した思い、「もう一度会いたい」。これが成就します。もちろん、優子は亡くなっています。それは幽霊だったのか、幻だったのか、二人にしか分からない不思議な物語でした。こうして全ての物語が終わります。{/netabare}
視聴後、不思議な感覚が覆いました。夕と優子は結局幸せだったのだろうかと。これは見た人の捉え方かもしれません。人生のやり直しではなく、進行形で描いたところがこの作品の良いところです。
この恋愛もの、どこかで見た感覚があります。なんだろう…たぶん赤いシリーズとか、TBS系のドラマにあったかもしれない。TBSというより、大映テレビの作品だ。大映の恋愛もの、青春ものは必ず鬱展開が待ち構えていて、重くなりましたね。そうか、懐かしく感じるわけだ。
一期、二期、通して見るのをお勧めします。物語シリーズ、まどマギが好きな人はぜひ見てもらいたいです。シャフトの魔力が詰まった最高級の一品です。