ゼロサム さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
かなり上級者向けの解説、第11話ですでに宇宙を救う永久エネルギーが誕生したという事実
私が見て感じた上での考察です。
まだ見てない方は、以下の話がちんぷんかんぷんになると思います。
この作品の結論から言えば、
「暁美ほむらはエントロピーの法則に基づき、インキュベーターを利用してでも、主人公のまどかを守る」という話です。
その前に、
作中にもあったエントロピーって何?
とか小難しいことは、下の方で簡単に解説してます。
で、この作品は、つまるところ、
少女達の友情や愛vs宇宙の寿命を伸ばす知的生命体とのやりとり
なんですね。
私の考察の要は、
この作品をよく見ると、この知的生命体が話す大前提のエントロピーの法則を無視した場面があるということなんですが、
アニメだからしょうがない、ってわけではなく、
そこを矛盾ではなく、マドマギらしさで解説したいと思います。
この作品の否定じゃないですよ、あしからず
ではストーリーから
もともと、暁美ほむらは性格が控えめで、魔法少女としてのまどかに守られていました。
そしてワルプルギスの夜を過ごし、死にゆくまどかを目にしてあることを決意します。
魔法少女としてインキュベーターと契約し、タイムリープを使い、まどかを死なせない様に助けると。
ここからが本作アニメの核心部分ですが、
次を最後まで読んで、新劇場版を見て欲しいと思います。
新劇場版でなぜ、暁美ほむらが魔女になろうとしたのか?にもつながると思います。
この作品の魔法少女達が使う魔力のエネルギーは、インキュベータのいう巡り巡ったエントロピーの法則に従っており、
生きていくためには、グリーフシードという変換エネルギーが必要となっています。
そのグリーフシードは、魔法少女が魔女になって作られるもので、さらには殺すことで得られるというジレンマを同時に持ち合わせている悲しい話となります。
そして本作11話にある、まどかを何度も救えず死なせてしまい、そして何度もタイムリープする経緯が描かれています。
このシーンと第9話のインキュベーターの話を思いだしてみましょう。
ここで一つの不思議な点が出てきます。
もともと、病弱なはずのほむらが、
タイムリープするごとに病弱から健康、強靭とどんどん強くなるという点がサラッと流れてます。
魔法の力を手に入れたので、病弱ではなくなった。
これは矛盾していないのですが、これが鍵となります。
第9話でインキュベータが話していたことを思い出してみてください。
宇宙の寿命の話、宇宙の延命の為に魔法少女の希望が絶望に変わる時に膨大なエネルギーが発せられ、それを回収するという話を、まどかにしています。
それだけ数多の命やプロジェクトの大きさを物語ってます。
一方で、ほむらはタイムリープするごとに戦闘能力を身につけていきます。
年齢はその戻った日のままでしょう。
つまりこれって、インキュベーターがずっと追い続けてる永久機関の誕生なんです。
11話では、インキュベータが物理の摂理であるエントロピーの話をしていましたが、あっさり論破された形になるんですね。
しかし、これはあとで書きますが、意味のあることなので、物理論を話すインキュベーターの視点で見ると、矛盾に該当するのですが、問題はここにはないのです。
本当にインキュベーターの論じた内容に反したものではないことをあとで述べます。
まずはタイムリープ後の世界を見てみましょう。
ほむら視点からは魔女の数は増えもせず減りもせず決まっています。
作中にはないですが、魔女をたくさん殺さなければ、ほむらの魔法、タイムリープはいずれ出来なくなることをほむらは知っています。
ほむらにとって、後半はまどか以外は誰であれ魔法少女になってグリーフシードがほしいのが、正直な気持ちだと思います。
そしてこの地点でのほむらには選択肢はいくらでもあります。
インキュベーターと共闘して、魔法少女の増産も可能です。
また、宇宙の寿命であるエントロピーの法則は
時間でいうところだと、過去から現在、未来の順で成り立つことはできますが、
その逆はありません。
木は燃やせますが、燃やした木は、木に戻らないと同じ原理です。
エントロピーの法則とはそういう事になります。
このことから、
ほむらが過去に戻り、記憶を保ち、戦闘技術を駆使でき、魔女を倒し続けられるという行為は、
この地点で、
インキュベータを超えた神
となり、
永遠のエネルギーの確保、つまり永久機関
もしくは、実は過去に戻れていない別世界線
もしくは、ほむら自身が描く過去の世界
ということにつながります。
そしてほむらがリープを繰り返すことで、
まどかに対しての因果律の集積が行われますが、
インキュベータのいう宇宙の目減りするエントロピーの法則には、
この集積値にも目減りは適用されなければ、道理にはなりません。
しかし、ほむらが永久機関としての神となって動き続けているので、ほむらの魔力がまどかに渡っているのです。
結果として
「まどかの魔力が途方のないものになる」
となっているのですが、
それでは9話のインキュベータ主張の摂理に合わず、
「ほむらがリープすればするほど、ほむらやまどかの魔力はエントロピーの法則によって当初に比べ落ちることになる」
につながらなければならないのですね。
しかし、魔力は増えてるのです。
つまり、ほむらは永遠のエネルギーを手にした瞬間で神となってます。
これが9話でインキュベータが話す、どんなにやっても宇宙には寿命がある、エントロピーの法則の真実となるべきところですが、インキュベータはこの地点でホムラ神に気付いてません。
ここまで読んで、本作の矛盾を感じた方がいるかもしれませんが、これは矛盾ではないのです。
ではインキュベータは、なぜまどかの願いを叶えるとき、
「エントロピーを凌駕した」と話したのでしょうか?
これは、インキュベータ自身がなんでも願いを叶えるという絶対唯一の神であり、
であるとすれば無限のエネルギーが作れる「永久機関」を最初から自分たちで作れば、宇宙の寿命は縮まずにワルプルギスの夜もなく、誰も悲しむこともなく済んだ話となるのです。
しかし、それは9話で話したエントロピーの法則により出来ない事は、インキュベータ自身も知ってます。
そこで、インキュベータは考えます。
より現実的な方法はないのだろうか?
そうだ、地球にいる少女、特に思春期にあたる魔法少女の希望と絶望の相転移によるエネルギー回収をすれば宇宙は延命できるのではとしたのです。
しかしながら、その永遠のエネルギーはまどかの死によって、ほむらが手にしました。
この後は、新劇場版を見てみてください。
その中で、永遠のエネルギーを手にしたほむらという少女は物理的法則に抗ってどういう道を選ぶかを。
その法則が巡り巡って翻弄される形になったのが、インキュベータとなっていることがわかりますので、是非、9話と11話、12話、新劇場版を再度見てみてください。