ノリノリメガネ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自然破壊に思いを馳せよう
言わずと知れたジブリが送る名作和風ファンタジー。
{netabare}
話はとてもシンプルで、込められた哲学も分かりやすいのが良い。要するに、人間とケモノの戦い(自然破壊)を描いており、その罪深さやそれでもなお力強く芽吹く命に、自然の懐の深さと畏敬の念を感じずにはいられない。
特にシシガミ様のデザインが秀逸で、神々しさと不気味さを兼ね備えた風貌が目に焼き付いて離れない。生と死をつかさどる神の威厳や自然そのものの優しさや怖さをうまく表現していると思う。
自然破壊や人間が便利に生きるとはどういうことなのか、一度立ち止まって考える機会を与えてくれる素晴らしい作品。自然破壊が絶対にダメだとも言ってないところが素敵。ちゃんと人間の都合も描いているところが潔い。もしも自然破壊が完全なる悪だと表現するなら、もっとエボシ様を悪く描いたり、殺したりしても良かったのだが、そうはしなかった。人間に改める機会をくれた希望的な終わり方がナイス。
ただし、自然や生命をテーマに据えていることもあってか、全体的に血なまぐさく、重厚な雰囲気をたたえ、例えば「ラピュタ」や「魔女宅」のようなポップな楽しさはない。そこがこの作品の好き嫌いが分かれるところかもしれない。
何があっても憎しみに染まらない人格者アシタカが超イケメン。
サンよりも真のヒロイン、ヤックルはかわいい。
エボシ様は超リアリストで自然破壊の象徴とも言える存在なのだけど、女性や病人に優しかったり、面倒見の良いとこも持ち合わせている非常に魅力的なキャラクターに仕上がっている。
もののけ姫が名作になりえたのは、アシタカやサンのおかげでなく、シシガミ様とエボシ様という2つの相反する魅力溢れるキャラクターを作り出せたからだと思う。
テーマは重いけど、人として生まれてきたなら一度は観ておくべき作品。
{/netabare}