takekaiju さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
最後まで観ないと本当の良さはわからない
使徒の種類や細かな個別ストーリーの有無はあれど、全体的なストーリーは漫画版に概ね準拠している。ただ後半、特にカヲルが出てくるあたりからやや走り気味で物語の着地点としては上手くないと思った。
ほぼ全編にわたって人造人間エヴァンゲリオンと使徒との人類存亡をかけた戦いというSFロボット作品として成り立っているが、ラスト2話だけ他と毛色が異なっている。アスカ、レイ、シンジの心の内面を描き出しレゾンデートル、自己の存在理由を問う哲学的な内容へシフトしている。シンジが自分のことを好きになる決意をすることでこの問いに対する答えを見つけるが、そこで物語自体が終わってしまうのはストーリーもののアニメとしては大きなマイナス点だと感じた。
このラスト2話をどう評価するかで、エヴァンゲリオンという作品に対する評価自体も変わってしまうほど、この作品をこの作品たらしめている要因だと思う。何のために生きているのか、思春期であれば誰しも思い悩む難問に対して、同じ世代の碇シンジという偶像を通して、問いかける機会になる。ともすれば、シンジと同じように自分に対して前向きになることができる。エヴァンゲリオンが社会現象にまで発展した背景には、SFロボットアニメとしての完成度の高さだけではなく、当時の視聴世代に対する心の問いかけが上手いこと機能して、それだけ強く印象に残ったからではないか。