takekaiju さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
不愉快です
はっきり言おう、つまらない作品だと。
良作の多い京アニ作品の中では外れな部類である。
分類としては、俺TUEE系と世界系を合わせたような感じ。
人の心が生み出す異形(妖夢)を狩る人々がその姿を見ることができない一般の人々を守っている世界が舞台。強すぎる力を持つがゆえに仲間から蔑まれてきた栗山未来と半分人間半分妖夢の神原秋人、普通ではないことをコンプレックスに持つ二人が妖夢と対峙していく中で互いを認め合い成長していく。
アニメ作品としてはありがちな設定な上に、視聴者を置いてけぼりにして物語が進んで行ってしまう。ファンタジーものである以上ある程度は流れの中で設定や用語を理解していく必要はあるが、それにしても度が過ぎていると思う。場面は最高に盛り上がっている(はず)なのに視聴者はそれがなぜ起こっているのかわからない、そのくせ登場人物たちは訳知り顔で物語を前に進めていく。虚ろな影編のラスト(未来と桜が対峙するあたり)からその兆候が顕著になってきて一気に冷めてしまった。
続く境界の彼方編では、話が世界的な危機にまで発展するがここでも設定だけが独り歩きしてしまっている。討伐されるべき半妖である秋人、その境遇を悲しみ自らを犠牲に未来は秋人を助け出す。目が覚めそのことを知った秋人は未来を助けるために……と物語は自己犠牲によって世界と相方を助ける展開になっていく。感動的な展開だが、この作品の場合いまいち感情移入できない。というのも、世界の危機というのが漠然としすぎていて、なぜ自らを賭けてまで助ける必要があるのか描かれていないからだ。作中登場する人物のすべてが妖夢に何らかの関わりを持っていて、一般人が全く描かれていないのも世界観の薄さに影響を与えている。
全般的に特別な力を持った人たちが勝手に嘆いて世界を巻き込んで何かしようとしている、どこか他人行儀な感じが否めない。丁寧な作画やぬるぬる動く戦闘シーンなどの京アニクオリティがある分、薄っぺらな脚本が残念な作品である。