CQxhN58542 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
なろう原作らしい作品
問題から逃避することができず、自己解決に至るまで立ち向かわなければならない、他者への「死に戻り」に関する告白が心臓を掴まれるという強迫によって禁止されている、という設定や、主人公スバル君の躁状態とうつ状態の反復など、ストレスフルな社会で生きる現代人をよく表現しているなあ、と思った。
しかし、そこまで徹底してウザく醜く描かれなければならなかったのかと、スバル君がかわいそうにさえ感じた。
比較するのもどうかと思うけど、
常に主観的な視点で「俺が」「ねばならない」という考え方しか出来ず、
無様な死を繰り返すスバル君は、
自分の分を弁え、相対的な視点を持ち、「社会が悪い」と嘯き、
クールに生きる『俺ガイル』の比企谷君と好対照をなしている。
スバル君は主人公として未だかつてない程に蛮勇を振るい、醜態を晒し、辛酸を舐め、問題解決に取り組む。しかし、ひきこもりだったスバル君は自分勝手な言動が多く、他者からの理解や協力が得られない。18話でのレムとの対話、白鯨討伐を通してようやく、スバル君は他者からの承認を獲得するに至る。
しかし、キャラクターに付与される中身(過去や生い立ち)は借り物感が否めず、レムとの対話はベタな純愛小説の、感動的なサイドストーリーを織り交ぜたダイナミックな戦闘シーンの白鯨討伐は少年漫画の、パロディという印象が強すぎて、物語に移入できず白けてしまった。
随所に散りばめられた(やや古い)時事ネタや二次ネタ、メタ発言、
変なところに音引きが入るなんちゃってペガサス弁のロズワール伯爵や、
脳が震える人々などなど、笑える部分もあり、
続きが気になる展開や、死ぬ時の絶望感など、
楽しみどころの多いバラエティ豊かな作品となっているが、
全体として何がしたかったのかがよく分からなかった。
読者を意識しすぎた(?)なろう原作らしい作品と感じた。