タケ坊 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
男達の格好良さと渋さに痺れる、ハイセンスなスパイ・ミステリー
☆物語&感想☆
ミステリー・スパイ小説が原作の全12話。
昭和12年に帝国陸軍の結城中佐によって、
秘密裏に設立されたスパイ養成部門“D機関”の活躍を描いたもので、
基本1話か2話で完結するオムニバス形式の物語。
小説をダイジェスト的に纏めている感じはするものの、
毎話の構成は見事で、序盤~中盤の伏線と終盤の回収がとても巧く非常に惹き込まれますね。
また派手さはないものの、Production I.Gならではの非常に丁寧な作画が印象的で、
声優にも実力派のベテラン勢を起用するなど、
大人が観て楽しめるアニメ作品としての品質はなかなかのもの。
フィクションではあるものの、当時の時代背景や空気感、
D機関の存在と陸軍との関係、日本と他国との関係などの描かれ方が、
観ていて違和感を感じない自然さがありますね。
オムニバス形式のため1話1話の内容や感想には触れませんが、
単なるスパイの活躍を描いただけのエンターテイメントではない、
登場人物のドラマがきちんと描かれているのが好印象で、
毎話観終わった後に感慨に浸ることが出来る趣深さがあるのが、
本作の一番の魅力ではないかと思います。
ただ、オムニバス形式は毎話違った内容を楽しめるという美味しさもある反面、
全話通して観た際の大きな感動や感慨を得るのはなかなか難しかったり、
各キャラクターの掘り下げ具合が難しかったり、などの面が見受けられましたね。
この辺りが非常に惜しい気もしますが、短編小説を集めた作品なので、
ある程度は致し方ないといったところでしょうか。
本作は内容をしっかり理解&納得しないと全く面白くないので、
毎話じっくりと、場合によっては2度観させてもらいました。
ながら観で気楽に観れる作品や頭空っぽで楽しめる作品も良いですが、
やはりこういう知的でセンスの有る作品が1クールに一本はあって欲しいなと思いますね。
まぁなかなか昨今のアニメの売れ線でないのは明らかなので、難しいんでしょうけど...
実写でやっても全く違和感がなさそうな作品だなぁ、と思っていましたが、
Wikiを観てみると既に映画化されてたんですね笑
アニメも良いですが、尺的にも実写の1時間ドラマで各話やってくれても面白そうだなと思いました。
☆声優☆
人気&実力を兼ね備えたベテラン勢を交えたキャスティングで、何の不満も無く安心して観れますね。
結城中佐の声の演じ分けにはさすがの一言。
☆キャラ☆
D機関のメンバーが集まっているのは冒頭のみで、
それ以降は結城中佐以外あまり誰が誰か、っていうのをあまり意識しなかったので、
キャラ名を覚えることがありませんでしたが汗、内容的にはあまり問題ないところでしょう。。
後から公式HPで丁寧に各キャラの紹介がされてたので、事前にチェックしといても良かったかな。
各人のスパイとしての生き様、一人の人間としてのあり方の部分が非常によく描かれていて、
なかなか伝わってくるものが有りました。
☆作画☆
派手さはないものの堅実で安定感のある作画はProduction I.Gならでは。
キャラデザインはD機関のメンバーがやや似たり寄ったりな感も有りましたが、
逆に言えば敢えてそう描いているのかも。。
☆音楽☆
BGMはミステリーとドラマに合った落ち着いたもの、緊迫感のある場面での盛り上がりの演出が印象的で、
作風に合ったものをよくチョイスされていますね。
OPは毎回お決まりのフレーズからイントロが始まるのが如何にもスパイものって感じで、
曲の歌詞も内容をよくとらえてました。
それに対してEDはドラマを観終えた後の余韻を感じる曲でこちらもなかなか良い選曲だったように思います。