Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
漫画、実写映画など様々なコンテンツで取り上げられた作品です。
この作品の原作は未読です。レビューを書くためにwikiをチラ見したところ、2008年度の「このミステリーがすごい!」で第2位に、週刊文春ミステリーベスト10で第3位にランクインすると共に、2009年、第30回吉川英治文学新人賞及び第62回日本推理作家協会賞を受賞した作品なんだそうです。
この作品には萌えがありませんが、Production I.Gさんが手掛けた真面目なアニメ作品としてみると、十分面白さが感じられる作品だったと思います。
昭和12年、日本陸軍の内部に秘密裏の組織・・・スパイ養成学校「D機関」が設立されました。
その機関に所属するものの過去は一切封印され、肉体の限界を超える試験・訓練を易々とクリアした者たちが世界各国で暗躍を始めるのです・・・
この時代はちょうど第2次世界大戦が勃発する前・・・各国の諜報活動が活発になっても全然おかしくありません。
むしろ、個人的に日本人は諜報活動に疎いとばかり思っていました。
元々島国で鎖国もしていたので情報の扱いそのものに大きな隔たりがあってもおかしくありませんし、第2次世界大戦敗戦の理由の一つに暗号を解読されたから・・・と聞いた事があります。
こんな事が記憶の片隅に残っていましたが、この物語における日本人スパイは相当優秀で、見ていて気持ちが良いです。
もし第2次世界大戦前に「D機関」の様な優秀なスパイ組織があったら、戦局も変わっていたのでは・・・などと考えながら視聴するのも面白い作品だと思います。
この作品を視聴していると、情報の大切さが身に染みて感じます。
情報が大切・・・という点においては、現代社会でも全く動揺だと思います。
営利企業なら営業や技術情報なんかは機密事項に該当します。
例えば海外への技術漏洩などは、最近のメディアを賑わせた事象の一つです。
あらゆる情報の権利はその企業に帰属する・・・というのは十分理解できますし、私もそうだと思います。
でも、大切な情報を生み出しているのが人間自身であり、情報そのものが人間を介在させず会社に帰属させる事が不可能である以上、法体系の整備も大切ですが、教育を繰り返して浸透させ人を変えていくと共に、あらゆる誘惑に負けない魅力を会社は創造し続けなければいけないのだと思います。
でも、会社がどんなに頑張っても防げない事もあると思います。
例えば家庭の事情など、会社とは直接設定が無い弱みに漬け込まれる場合などが良い例です。
普通に生きていれば弱みの一つや二つは必ず持っていると思います。
その弱みが会社とは無関係だったら・・・救済を求めても叶わないでしょう・・・
そういう場合の緊急的な避難措置の道があるのなら・・・情報の取り扱い方も変わるような気がします。
でも、そこまで会社にとって重要な情報を持っている人も限られているとは思いますけれど・・・
この作品でもスパイになる動機って愛する人のため・・・生きるため・・・お金のためなど、どれも利己的な事がきっかけだったように思います。
ですが、現代社会との違いは一度入ったら決して抜け出せないこと・・・
だから2重スパイ・・・などという考えが生まれてくるのだと思います。
スパイの世界・・・というものが実際にあるかも分かりませんが、その世界は全世界を飛び回る仕事ではあるけれど、決して広がりのある世界では無い様な気がします。
この作品では幾つかの短編小説を基にアニメ化されているので、1,2話で完結する内容が殆どです。
そのため、物事前後の背景は分からず、いきなりスパイとして相手の懐に飛び込む場面から始まったりもしますが、それが適度な緊張感となって感覚を刺激してくれます。
そして完走して思ったのは・・・スパイの仕事はあまりにも孤独で、私には絶対耐えられそうにない仕事だと思いました。
オープニングテーマは、QUADRANGLEさんの「REASON TRIANGLE」
エンディングテーマは、MAGIC OF LiFEさんの「DOUBLE」
1クール12話の作品でした。女の子のキャッキャウフフは大好物ですが、たまにはこういう作品に触れるのも個人的には悪くなかったと思っています。
作画も丁寧に作りこまれているので、全般的に好評価な作品だったと思います。