岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
本当の意味で繋がることって
キズナシステムという謎の実験によって、半強制的にキズナを繋げられた?高校生たちの物語。主人公の勝平君は痛みを感じない無感情な男の子。彼に感情移入できるかが物語を楽しむための、一つの山かもしれません。
中盤まではキズナシステムによって結ばれたキャラクターがミッションをこなす過程で、各々の友情・恋心の変化や、隠された過去が明らかになっていく。はじめはバラバラだったメンバーが少しずつ繋がっていく過程が、丁寧に描かれています。キャラクターによっては感情の揺れ幅が小さく繊細な描写もあり、メンバー間の関係がわかりにくい部分も少しありましたが、全体として楽しめました。
物語の終盤のカギを握る園崎さんは誰かと誰よりも繋がりたいと思う不器用な女の子だったのかな印象です。彼女の暴走と勝平君の会話が物語の個人的なハイライトでした。
彼女の言うキズナシステムは、確かに誰かと繋がることが表面的にできるのかもしれませんが、リスクや犠牲もあり不完全なものだったのかなと。でもキズナシステムに意味がなかったわけではなく、本当の意味で誰かと繋がるために必要な存在だったのかもしれません。自分が誰かの痛みを引き受けることで誰かと繋がり続けようとした園崎さんが、最後に本当に意味で誰かと繋がる瞬間を見れてよかったです。
一方気になった部分としては、キャラクターごとの七つの大罪をモチーフにした名称ははあまり意味がなかったかなと。キャラの性格は物語を追っていけば、大体わかるかなと感じました。
あとは物語の重要な要素であるキズナシステムの設定が少しわかりにくかったですね。終盤になってようやくその詳細が明らかになりましたが、前半それでつまずいてしまう人もいたかもしれません。
キャラクター間の恋愛模様に関しては仁子の恋愛感情の芽生えと過程が、わかりやすい千鳥と比べると少しわかりにくかったですかね。その千鳥に関しても前半と後半で印象がだいぶ変わりました。
最後にトリガーさんというと「キルラキル」のような大きな動きと熱い熱量で物語を描くことが得意な会社さんなのかなと思っていましたが、本作のような毛色の違う作品も素晴らしいなと感じました。