Tnguc さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
【ネタバレ注意】 長門の感情が、改変された世界に溢れていて・・・。
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※
禁則事項を守りながらレビューを書くことが難しかったのでネタバレを含みます。
本作はライトノベル“涼宮ハルヒシリーズ”の第4弾である『涼宮ハルヒの消失』を原作とした劇場アニメで、
TV版『涼宮ハルヒの憂鬱』から数か月後の冬が舞台である。
ある日を境に世界は改変され、ヒロイン?の涼宮ハルヒが消失してしまう。
一体何が原因で世界は改変されてしまったのか、何故ハルヒ達は消えてしまったのか、
取り残された主人公・キョンは僅かな手がかりを頼りに走り続ける。
ジャンルは学園SF。
まず、世界が改変された理由を追っていく推理もさることながら、
本作のヒロインと言っても過言ではない長門有希がとにかく可愛い。
TV版では単なる無口なガイノイドであった為に、
本作では凄まじいギャップが生み出されていて、もう半端なく萌える。
もしかしたら表面上で一番萌えたアニメキャラかもしれない。
改変された世界を通して見えてくる長門の胸中、
“入部届”と“しおり”から憶測される長門の感情、
そして、それらに対して出したキョンの答えが、長門の尊さを一層際立たせる。
何故、ハルヒ達をキョンから遠ざけられたのか、
何故、長門だけがキョンとの繋がりを残したのか、
何故、“しおり”を与えたのか…、
端々の描写や改変された内容から見て取れる、
本人ですら気付いていない長門の秘めたる気持ちが
伏線を紐解いていく度に見えてきて、まるで人間の様に甘酸っぱい。
世界の改変次第では、キョンを独占することも可能だったと思うが、
キョンだけは改変前の記憶を残し、しかも“しおり”を通して選択権までも与えている。
“しおり”が意味するのは、文芸部とSOS団の取捨選択で、
ひいてはハルヒと自分を天秤にかけた告白だと個人的に思う。
“入部届”はラブレターの隠喩だ。
なんでもかんでも色事に結び付けるのは安直かもしれないが、
『憂鬱』に遡ってみれば、キョンの意見によって長門はメガネを外した訳だし、
それは、キョンに対しての好意の表れなのではないかと思ってしまう。
結局、“しおり”の謎はハルヒが解決してしまったので、
長門がキョンに委ねた壮大な告白も空回りの様な形で終わってしまい、何となく肩すかしになってしまった。
しかもキョンは「ハルヒがいない平凡な日常」と「ハルヒが巻き起こす騒がしい日常」という環境面を天秤にかけてしまい、
長門が提示した問いとは齟齬がある気がして、何となくスッキリしない結果になってしまった印象を受けた。
この辺りは、よくあるハーレム物の主人公がやりそうな現状維持エンドに類似しているが、
本作ではハルヒを想うキョンの描写がある為、どちらにしてもキョンがどちらを選ぶのかは明白だったので、
以外にも納得のいく物語になっているから凄い。
他にも風邪の流行などの物語が破綻しないような配慮がされており、とても丁寧な作品になっている。
劇場アニメにしては2時間30分を超える長丁場だが、
伏線を理解した上で観ると更に面白いので、二度美味しい作品である。
TV版を観た人は是非劇場版も観てもらいたいなと思う。
物語:★★★★☆ (『憂鬱』を視聴前提の作品だが、集大成とも言える物語。)
作画:★★★★★ (モブに至るまでの仕草が細かく動いていて、手の込んだアニメ技法は凄い。)
声優:★★★☆☆ (ほとんどが杉田智和によるモノローグである。ここは好みが分かれると思う。)
音楽:★★★★★ (ジムノペディによる環境音楽が良い。『涼宮ハルヒの手がかり』の劇伴は展開と共に胸が踊った。)
人物:★★★★☆ (長門が可愛い。)
総合評価:★★★★☆(4.0点)
[2016/7/1 AbameTVにて視聴]