芝生まじりの丘 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
期待しすぎると...
※1期2期通しての感想です。
宣伝アニメとしてみると、常識を覆されて、面白いのかもしれないが、期待して見ちゃうとフツーかな。ストーリーには視聴者をぐいぐい引っ張るものがあるけど、それだけ、進化した今時のテンプレって感じでイマイチこの作品でこれがしたい!という意気込みが感じられなかった。設定が結構まどマギ臭い。
遊月の話はエゲつくて嫌いじゃないし、{netabare}大抵の願いは本人の覚悟、努力次第で奇跡や魔法に頼らずともどうとでもなる{/netabare}ことを突きつける設定は好みですが。
しかし最大のテーマはおそらく孤独感と絆で、自分にとってはそれがありきたりとしか思えなかった。
【何故みんな、隠キャに"絆"の大切さを説きたがるのか】
{netabare}
何だかアニメ作品では本当にしょっちゅう、本当は友達が欲しい敵キャラだとかそういう存在が出てくる。まあ実際漫画家にせよ、ラノベ作家にせよゲームメーカーにしてもろくな青春を送ってこなかったような輩が山といるのだろう。あるいは、アニメ視聴者層を見縊って、どうせお前ら友達いないだろ、欲しいだろ、と思って描いているのか。
アニメ業界だけでなく、昔から芸術家というものは多かれ少なかれ孤独な生き物で、谷崎潤一郎だったり、三島由紀夫だったりもろくな青春は送ってこなかったことが文章内容から滲み出ている。コンビニ人間の作者とかも相当歪んでいそうだし。
だが彼らは自分に大いなる誇りを持っていた。そして押しも押されぬ大作家になったのだ。(ここにコンビニ人間を並べるのは酷か。)
友達なんて大事だけど、人生の全てじゃないぞ。別にくだらん人間どうしで馴れ合ってもしょうがなうやろ。
友達とカラオケ行って、ゲームやって、もたまには楽しいかもしんないが、実際プロの音楽家も、天才的研究者も、馴れ合いよりも自分の道を優先した。そういう生き方だってありじゃないか。馴れ合い抜きの青春を送る一番のデメリットはそれで自尊心を失うことだ。学校のクラスのちょっとした人間関係を世界全体の、人生全体のヒエラルキーみたいにみんな重く考えて、それで自殺する人間までたくさんいるらしいが。しかし、社会と同調する才能がなくても、いくらでも、他で努力し、自分に自信を持つことはできると思うのだ。別に大作家になったり、天才研究者になったりはできなくても、自分に誇れるくらいの人間にはなれる。特に学生時代なんて、時間もエネルギーも有り余ってるのだから、そのエネルギーを何かに注げば必ず何かしらただのチャラ男にできないことができるようになる。そしたら周囲の評価だって後から多少は改善されるし、そもそもそんなこと気にならなくなる。
"友達がいない"というだけの人間だったら壮大につまらないが、孤独でも夢を追いかけてちゃんと努力している人はそれなりに格好良いし、劣等感を持たずにすむ。そうして自分の人生に自信が持てれれば、それはもう幸せな人生送ってますよ。
こういう友達のいない人間が友情を掴んで幸せになる話というのは、ちょっと歪に感じる。フツメン()の何の取り柄もない男がハーレムを築くくらい、ぼっちがマトモな人間関係作るっていうのはファンタジーだ。何かのきっかけで友達作れるくらいの人はだいたい逆に何かのきっかけで友達が作れていなかっただけだ。全然作れない人は本当にまあ無理だ。だから切り替えてできるだけ対人関係でコンプレックスを持たない方がいい。歳食えばどうせ青春してる友人関係なんてどうせあんまり関係無くなっちゃうんだから。だからこそ限りある青春を楽しみたいのかもしれないけれど。変にコンプレックス抱える方がやばい。
だから孤高を気取れという訳ではないにせよ、友情なんて大事だけど、なくても幸せになれるよ、逃げ道はちゃんとあるよ、と僕はそう全ぼっちに考えて欲しいし、友達作れないやつに、徒らに夢を見させるのは残酷過ぎると思う。
まあWIXOSSなんて馴れ合える友達いないと始められんけどな。
こういうテーマはそれとも別にぼっち対象ではないんやろか。でも別に友達あるやつは別に友情の大切さとか尚更どうでも良いと思うんやけど。それとも2,3人はみ出し者同士で依存しあって無為にだらだら馴れ合ってるような連中向けなんやろか。そうかもね。
という訳で友情大事!ということに共感できれば面白いのかもしれませんが、友情が世界で一番大事な人の気持ちが僕にはあまり分かりません。お前無人島行ったら死ぬんか?
{/netabare}
【総評】
WIXOSSやったら友達できました!!っていうのを現代的に味付けするとこうなるのかな。
宣伝アニメとしては異色、意欲作でしょう。
一個のアニメ作品としてみるとそこそこモダンなテンプレ作品でしかない。