ペガサス さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
神アニメというに相応しい作品
室町時代を舞台に産業文明と自然回帰の相克を描いた、宮崎駿の諸作品の中でも屈指の名作。
人間が文明を発達させる過程で切り捨て失われたものを、ファンタジックかつリアルに描くことで、
アニメという作り物とは思えない生々しさを作品に与えている。
「わしの一族を見ろ!みんな小さくバカになりつつある。このままではわしらはただの肉として人間に狩られるようになるだろう」
乙事主のこの台詞やタタラ場の克明な描写なども相俟って、
日本の歴史の中で、本当にこんなことがあったのではないかと思わせるほどの説得力がある。
人間の歴史において得たもの失われたものとは何であったのか。
シシ神という自然の神秘さえも手中にしようとする人間の欲望は浅ましくも愚かではあるが、
サンやアシタカのような無垢さや純粋さ良心も人間は同時に持ち合わせている。
それら矛盾するものを抱えながらも生きる人間の業を描くことで、観る者に問題提起をしている。