タケ坊 さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態：観終わった
やることなす事、とことん裏目に出たという印象
比較的新興の制作会社、ディオメディアによるオリジナルアニメーションで、
監督に水島 努＆脚本に岡田麿里を起用した本作は、
今期春アニメの本命として期待していた作品だったんですが...
結論から言うと、正直期待外れに終わってしまい残念ですね。。
恐らく最後まで観た人の多くがそう感じているのでしょう...成分タグが少々荒れたことになっていますね笑
物語は「閉鎖された村での人間模様と主人公の心の葛藤を描く、前代未聞の群像アニメ」という謳い文句で、
「謎が謎を呼ぶスリリングな展開」なんて言うもんだから、
てっきり本格サスペンス・ミステリーやホラーを勝手に期待してましたが、
今思えばまさにこの謳い文句通りの内容なんですよね。。
観る側の勝手な想像で、監督の過去作なんかをイメージされていたのは、
やや同情の余地がありますけど、それを逆手に取って惹きつけることが出来なかった、
良い意味で期待を裏切ることが出来なかった、というのは、
やはり結局は単純に作品自体の作りが甘かったということなんじゃないでしょうか。
物語の内容はざっくりと言うと、現実から逃げてきた人間が、自身のトラウマと向き合う話。
とにかく、まず登場人物が多すぎましたね。
群像アニメとはいえ、1クールのオリジナルアニメとなると、尺の問題からやれることは限られているはず。
これだけ多くの登場人物が居ると、充分に各キャラの掘り下げはできないので、
結果主人公と関わった数人しか物語の本筋には関わってこないんですが、
最終回の終わり方を観る限り、結局殆ど集団ヒステリー要員にしかなってないようなキャラも居ましたね。
1話で延々と続けられた人物紹介が退屈でしたが、大方居なくなるもんだと思ってました...
まぁバスツアーっていう設定上ある程度の人数が居なければダメなのは解るんですけどね。。
で、そもそもおかしなバスツアーに参加してくるようなキャラたちということもあり、
性格的に痛い人間ばかりだし、思考や行動が浅はかで、観ていて良い気がせず惹き込まれる筈も無いんですよね。
恐らくこれが最後まで付いて回ったかなと言う気がします。
結局観ている側の印象の良くない、不快感を感じるキャラに、
過去にどういった事があったとしても（大半はトラウマ自体もチープだったり）
なかなか共感できるもんでもないんですよね。
キャラクターの内面に焦点を当てた物語で、共感や惹かれるものがない、
というのは茶番にしかならないような気がします。
まぁそれでも4話か5話くらいまでは、どうなるんだろう？と先が気になる展開ではありましたが、
それ以降各キャラの回想やトラウマが云々、という展開になってくると、
「ふ～ん、あっそう、何だかなぁ。。」という感じで、
盛り上がりや意外性、刺激に欠け、正直惰性で観ているような感覚でした。
結局最後どうなるのか、というオチだけが気になって観続けましたが、
{netabare}そもそもの納鳴村自体の謎や途中キャラが発した言葉の意味など（只の思わせぶり？）
回収されず疑問は残ったまま。。{/netabare}
一見綺麗にまとめたように見えますが、設定自体への疑問は多々あり、あまり観終えてスッキリしませんでした。
それはそうと、バスで歌ってた歌って何か意味あるんですかね？
今冷静になって考えると、そこまでつまらない話でもないんですけど、
せめて考察のし甲斐のあるような、最終話観終えてなるほどと納得できるような、
作りこんだ設定と物語であれば...と思います。
脚本は岡田麿里さんですが、監督含めた打ち合わせの上で意見を出し合って、
内容を変更したりライブ感を重視した作り、とか何かで見ましたけど、
やっぱり本作のような「謎が謎を呼ぶ」というような物語は、
徹底的に事前に隙のない設定で作りこんで欲しかったと思います。
批判的なことばかり書きましたが、物語とキャラ以外の要素、
声優、作画、音楽といったクオリティ面に関しては概ね良かったと思います。
特にOPなんかは、本作の内容を非常に的確に表現されてるし、
ED同様曲自体も良かったと思います。
内容とは関係ないですが、
この作品ではクラウドファンディングで資金を募る、という新しい試みがなされ、
一定の効果が見込めると周知された点に関しては興味深いですね。
ただ、今後こういう試みは原作が面白くてファンも多いけど、
アニメ化するには予算的な問題がある、と言った作品に活用していって欲しいですね。
今回のようにオリジナルアニメで内容が分からないと、出す方もなかなか思い切れませんよね。
期待して出資したは良いけど、結果面白くなかったら何だったんだ、という気になるんじゃないでしょうか。
