runa21 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「願い」を物語にしたら、こうなった?
自分の願いに応じた能力を与えられた
能力者(オーダー)と呼ばれる人たちがいて、
その中の一人の願いにより
世界が滅びかけたところから物語が始まるんですが・・・。
登場人物たちが一癖も二癖もあり、
肝心なところは何も説明されず、
訳の分からないまま、
もやもや感を抱えたまま物語が進んでいきます。
ヒロインの一人の女の子が、
『未来日記』に出てきた子に似ていると思っていたんですが、
原作者が同じ方のようですね・・・
なんか納得しました。
『未来日記』の方も、こんな感じのもやもやがありましたからね~。
このもやもやを抱えたまま
中途半端に終了したら許せないと思っていたんですが、
それなりの着地をしたので、そこはよかったと思います。
この物語ではいろんな能力が出てくるんですが、
自分だったらどんな能力がほしいかなぁ。
欲深いので、
あんな能力ほしいなぁ
こんな能力ほしいなぁってどんどん出てきます(笑)
ただ、自分がほしい能力を考えていくと、
自分がほしい能力、自分のかなえたい願いというものは、
自分のコンプレックスからきているものかもしれないと
思いました。
この物語に出てくる人たちの能力も、
なんで彼らにこんな能力が備わったのか理由があるんですよね。
あの時こういう状況だった。
その状況は自分に足りないものを突き付けられた状況で、
それを克服するために、その力を手に入れているんですよね。
それぞれの力を考えると、
彼らのコンプレックスとか、悲しい状況とかが見えてきて、
それをお互いぶつけ合って、戦っていくという・・・
能力者同士の戦いといえば聞こえはいいですが、
カメハメハ的な、ものすっごいものではなく、
お互いの願いのぶつかり合いと言いますか・・・
お互いのコンプレックスのぶつかり合いと言いますか・・・
お互いの意地のぶつかり合いと言いますか・・・
とにかく
かっこいいとか、悪いとか
そういう戦いではないんですよね・・・。
そもそも「能力」そのものが、
自分の願いから生まれたもので、
「願い」というものは、
今ある状況とか、自分の無力さに直面したからこそ
感じるものであり、
そういった「負」の状況から発生するものなんですよね。
だからこそ、この物語は全体的に暗い・・・。
自分の願いをかなえるための能力を授かった人たちの話なのに、
そこだけを聞くと、一見明るそうな話なのに、
そもそも「願い」というものそのものが
「負」の状況から生まれるものであるから、
物語全体が、暗くて、もやもやした感じが終始付きまとう。
ただ、後半になればなるほど、
もやもやした点の説明がなされたり、
世界滅亡の時の状況を説明されたり・・・
そしてラストには、少しだけ希望が見えたり・・・。
「願い」という言葉を物語にしてみたらこんな感じになりました
っていうのを見せられた気がします・・・。
世界滅亡という「負」の状態から物語が始まり、
その中でも妹を助けたいと「願い」
その願いをかなえるために、仲間を増やし、
動いていくという・・・。
自分の願いに応じた能力を与えられた能力者たちの物語なのに、
物語の主軸となる主人公の行動は、意外と王道なんですよね。
自分の努力と、増えた仲間の力を借りながら
自分の「願い」を自分の力で叶える話なんです・・・。
なんて天邪鬼な物語・・・。
なんて不器用な物語・・・。
『未来日記』で懲りていたはずなのに、
またこの方の作品のアニメをラストまで見てしまったのは、
意外と王道な流れが根底にあったからかもしれない。
ただ、もやもや感と、終始感じる「負」
王道な流れではありながらも、この物語を
誰かに進めることは・・・できないかも・・・。