「デジモンアドベンチャー(TVアニメ動画)」

総合得点
83.8
感想・評価
986
棚に入れた
5743
ランキング
313
★★★★★ 4.1 (986)
物語
4.3
作画
3.7
声優
3.9
音楽
4.4
キャラ
4.2

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ネタバレ

狗が身 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

完走した感想。

サマーキャンプに参加していた子ども達が突如、デジタルワールドと呼ばれる異世界に巻き込まれ、そこでの冒険と成長を描いた本作。

まず挙げられる美点は、デジモンの進化・必殺技のバンクシーン。
{netabare}最近になって再視聴したんだけど、デジヴァイスと呼ばれる携帯端末から流れたデータがパートナーデジモンに流し込まれ、デジモンが進化するという演出の巧さに改めて感動したんだよね。
成熟期までの進化はこれといった条件がないから(最初の発動にはパートナーのピンチという条件があったけど、2回目以降は無し)演出はシンプル。

そして超進化には個々の個性を象徴する紋章が必要な為、進化シーンでもデジヴァイスから飛び出したデータが紋章を通過してから、デジモンに流れるようになっている。
これは、膨大な進化の派生の中から、パートナーに相応しい進化を厳選した、ということなんだ。もしも太一が友情の紋章の持ち主だったなら、アグモンはメタルグレイモンとは違う進化をしていたかもしれない…。そう考えると、すごくワクワクする。

で、進化したデジモンが繰り出す必殺技…これも素晴らしいバンクの数々!
グレイモンの【メガフレイム】やカブテリモンの【メガブラスター】をはじめとして、どの必殺技も【溜め】と【放出】がしっかり強調されていて、インパクト絶大。
とくに私が気に入っているのはカブテリモンの【メガブラスター】…これがもうめちゃくちゃカッコイイんですわ!
あとはイッカクモンの【ハープンバルカン】。ツノがミサイルみたく発射されたかと思うと今度はそのツノが割れて中からミサイルが出てくるという二段構えの面白ギミックが良いね。
ウォーグレイモンの【ガイアフォース】はもはや殿堂入りのカッコ良さ。あんなの惚れない理由がないよ…。
{/netabare}

次に良かった点は、子ども達のドラマ。とくに終盤のダークマスターズ編かな。
{netabare}選ばれし子どもとして自分達に課せられた使命と状況を誰よりも早くに実感していた太一は、しかし、その驚異的なまでの自己の精神の強さを理解できておらず、周りにも意志の強さと高さを無意識のうちに強いていた。
その彼はヤマトとの衝突、ミミや丈の一時離脱という状況を経験したことで周りとの協調性の重要さを実感。リーダーとして真の覚醒を遂げた。

序盤から太一との衝突が絶えなかったヤマト。彼はメンバーで一番繊細な神経の持ち主で、誰かから必要とされることでしか自分の価値を実感できない。だから自分に自信を持ち、行動力に富んだ太一のことが疎ましく思えていた。
それは結局、太一を倒す倒すことで解消できるものではなく、自分自身がその弱さを受け入れることが大事だった。
そのことを受け入れることで、ようやくヤマトは自分と正反対の太一を「親友」と呼べることができたんだよね。

この二人以外でめざましい成長を遂げたキャラクターと言えば、やはりミミと丈だろう。光子郎と空はなんというか…成長の必要があまり無いキャラだったからね。

ミミは持ち前の純真さを損なうことなく、太一とは異なるカリスマ性を発揮していった。彼女のパートナーであるパルモンがリリモンへの進化時に披露してくれた、倒す以外の方法は、後のミミの方針に大きな影響を与えたことは想像に難くない。

丈は日本へ向かうゲートの前で太一に判断を委ねると宣言した辺りから、誠実さに行動力が伴い、だいぶ格好良く見えるようになったよね。
現実世界でタケルを守ろうとした時も、ミミが戦いの道を降りようとした時も、思い悩むヤマトがみんなから離れた時も、そして空が闇に呑まれそうになった時も…。不器用だけど誰かの傍に寄り添って支えようとするその姿は男前だ。

自分自身と向き合い、本当の意味で選ばれし子どもとして戦うことを決めた一同が揃う終盤は本当に熱い展開だった。
{/netabare}


ここからは悪い点を挙げていこう。
{netabare}まず私が思うのは、選ばれし子どもの人数。
正直、8人は多すぎたと思う。
もちろん嫌いなキャラがいた訳でないんだけど…タケルとヒカリの登場は次回作の02にとっておいてもよかったんじゃないかなぁって。
タケルは紋章の【希望】に違和感がある。紋章はその人が持つ最も素晴らしい個性という設定なんだけど、太一の【勇気】やヤマトの【友情】はともなく、希望って個性?
しかもこれが決まったのは時系列でいうと本編の4年前らしい。4年前というとタケルは当時、4歳ぐらい。この頃の個性って言われてもピンとこないんだよなぁ…。

私としては【希望】という紋章はアポカリモン戦でみんなの紋章が一つになった発現するとか、そういう展開だったら最高かな。
タケルがこういう特殊な紋章だったことで、タケルの戦いはかなり優遇されていた。デビモン戦はまぁともなくとして、ガッカリだったのはピエモン戦だ。
あれだけ引っ張って満を持してのヤマト合流。ウォーグレイモンとメタルガルルモンがピエモンに挑む! って引きの次で主役はまさかのホーリーエンジェモンって…そりゃあんまりでしょ!!

タケルを登場させるならせめて太一とタケルの紋章を逆にした方がよかったかも。太一の諦めない心って【希望】と称してもいいレベルだったし。弱虫だったタケルが勇気に目覚めていくという展開でもアリだと思う。

そしてヒカリは加入時期が遅すぎたせいでドラマらしいドラマはほとんどなく、存在意義がほとんど不思議能力だけになってしまった。掘り下げが02までお預けだった点を考えても、やはり本作での加入は見送った方がよかったかも。

子ども達の人数は6人に絞り、その代わりに6人のパートナーデジモンを究極体にすれば画面の迫力は充分あっただろうな~。
終盤の丈やミミの成長が、パートナーデジモンの進化に直結しなかったのは、かなり勿体なく感じた。
{/netabare}


そして終盤では全体的な設定の甘さが目立ってきた。
{netabare}序盤こそ謎だらけだった選ばれし子どもの設定やその目的だったけど、いざ明らかになると、メチャクチャな設定だった。
結局、選ばれし子どもの使命はアポカリモンを討伐することだった訳だ。
でもアポカリモンは過去にも出現したデジモンであり、その正体は進化できずに死んでいったデジモンたちの怨念の集合体。

太一達は見事にアポカリモンを倒すことができたが、なんの解決にもなっていない。
デジタルワールドは序盤から時々描かれていたけど、基本的には弱肉強食の世界。弱者が淘汰されていく自然の世界なんだよ。
だからアポカリモンが生まれてくることは間違いない。そうすると今度は太一たち以外の誰かがまた選ばれし子どもとして過酷な戦いに身を投じなければならない…。そう考えるとスッキリしないよねぇ…。
{/netabare}


さて、良い点も悪い点も結構な分量になってしまったけど、それだけ語る所の多い作品だったということで。
実際、不満こそあれど面白い作品であることは間違いない。
興味があれば、一度観てみて欲しいな。

投稿 : 2018/02/12
閲覧 : 600
サンキュー:

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