oneandonly さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
Re:期待度ゼロから始める異世界生活鑑賞(完結)
世界観:6
ストーリー:5
リアリティ:4
キャラクター:7
情感:7
合計:29
コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年、菜月昴。頼れるものなど何一つない異世界で、無力な少年が手にした唯一の力……それは死して時間を巻き戻す《死に戻り》の力だった。大切な人たちを守るため、そして確かにあったかけがえのない時間を取り戻すため、少年は絶望に抗い、過酷な運命に立ち向かっていく。
(公式サイトより)
飲み会でアニメに詳しい方から、当時のシーズン(2016年春)のベスト作品候補に挙がる作品として紹介を受けたので視聴しました。
アニメを見るようになって1年半(2016.6現在)ですが、単純な萌え重視アニメを楽しめるようには到底なれそうもありません。
この作品、どうしても評価できないのが、{netabare}主人公のスバルが異世界に移動してしまってから、ほとんど一度も現実世界を振り返るところもなく、家族や友人のことを考えることなく「異世界召喚設定」とか自分で言って茶化しているところ。{/netabare}
SAOであれば、{netabare}ログアウトボタンありきで人々は入り込んだわけで、現実世界の話もしっかり語られていましたし{/netabare}、ログホライズン{netabare}では、例えばトウヤのような、現実世界に戻るよりも仮想世界に生きたいと思ったことが語られていました。
そして、アスナの後継狙いか? と思ってしまうような{/netabare}ヒロインやメイド2人の登場、エロネタ的スラングなども出てきた4話終了時に断念を考えたのですが、念のため続き見たところ、{netabare}死に戻りのループ{/netabare}が徐々に面白く感じられるようになり、最後まで視聴できました。
特に屋敷での{netabare}ループは、シリアスかつ一応論理的な解決がなされ、くど過ぎるスバルのハイテンション語りを含めても{/netabare}楽しめました。
ここら辺まで11話終了時に一度UPした感想でしたが、その後、{netabare}18話の会話会がなかなか良くて、評価も一気に上がりました。レム様様ですね。
死に戻りのセーブポイントが厳しかったあたりは、ゲームボーイのSaga(1です)というゲームをしていた時、勝てない中ボスの直前でセーブしてしまって、始めからやり直すハメに陥ったことがありますが、それを思い出しました。
ただ、そこからの展開は特にいいなと思える場面もなく、白鯨戦や魔女教徒との戦いが淡々と進んでいき、エミリアとようやく再会(フードなしで)。と、見ているとなんか綺麗な見せ方になっていて、エンドロールが…。思わず外人のように「ザッツイッ?」ってなリアクションをしてしまいました。
ラスボスがあのザコっぽかった怠惰で(最終形態はジブリのもののけかゲド戦記のラスボスみたいでしたが)、あれだけ心が離れてしまったエミリアと、これだけのエピソードでラブラブな感じに発展するのは納得できないし(スバルの死に戻りによる救助劇も、大方の人にはわからなかったし、エミリアはもっとわからんだろ)、屋敷のメンバー、少なくともレムを登場させないとはどういうことだ! この異世界や死に戻り設定は結局何だったんだ? てな具合に憤懣やるかたなしな状況になりました。この終わり方はちょっと致命的です。{/netabare}
期待度ゼロから始める異世界生活鑑賞。一時は期待度が上がった時もありましたが、最後に突き落とされましたね。元々、アニメを見ない層におすすめできる作品ではないと思っていましたが、残念でした。
好きな方、すまんね。
(参考評価推移:3話3.6→4話3.5→7話3.7→11話3.6→15話3.8→16話3.9→18話4.2→21話4.0→23話3.9→25話3.4→調整3.6)
(2016.6~9視聴)
<2017.1.10追記>
デスノートの評価を上げたことに絡み、過去の視聴作品の評価のバランスが悪くなっていないか見直しをしているところ、この作品も最後の印象で評価を下げすぎたかと再確認し、色々思うところがあったので追記します。
{netabare}この作品、楽曲と作画、特にキャラデザイン等が優秀な反面、何が悪いのかというと、脚本なのだと思います。異世界召還や死に戻り(セーブポイント更新)の設定に係る説明が最後までなく、王選のくだりもまとまっていないし(続くエンドならまだしも、綺麗に終わろうという感じでした)、2クールありながら話の組み立てのバランスが悪いんですよね。
例えば私なら、序盤に繰り返し死ぬところは、死に戻り等の設定を描くところで終え、その後はレムとの関係構築(レムがスバルを想うようになるためには、全然描写が足りていないので)や王選の話を進め、レムとの問答回を1クールの最終話くらいまでに詰め込み、その問答では、国を救わずに逃げて2人で暮らすことを選択させ、平穏に暮らしましたエンドまで行く(レムや子供たちに看取られる)。そこで、この問答より前に死に戻る! そして、レムや子供と共有した思い出(どこまでアニメで描けるかはわかりませんが、1話くらい使っても良いと思います)が自分だけのものとなってしまったことに衝撃を受けて涙を流しつつ、若く美しいレムを抱きしめてしまうことでしょう。
そして、そうすれば、セーブポイントがどういう形で更新されるのか(これよりも前にも、セーブポイントを大きく戻される経験をしておいたほうが良さそうですが)、異世界に召還された理由(スバルが成さなければならないこと)は何かという設定の核に話を繋げていくことができます。ここの問答において、自分に力がなくとも逃げる道を選べないことに視聴者を納得させることができます。そしてこの場合、エミリアへの行動は恋心ではなく任務遂行となり、最後はレムとのハッピーエンドとなります(ヒロインがエミリアだと思わせておいてレムだったと)。王選を描けなければ2期へ続くエンドでも問題なしです。
どうでしょう、見てみたくないですか?(笑)もちろん、粗は他にも多々あるかと思う(例えば、白鯨戦や一応のボスとの戦いはもっとコンパクトにできるだろうし、老剣士の過去エピソードはアンバランスだった)ので、そのあたりも物語に必要な要素に厳選したら衝撃的な名作になったんじゃないでしょうかね。{/netabare}