ペガサス さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
めくるめく世界
2011年は東日本大震災が起きた年として記憶されるが、その年にアニメ史上に残るであろう二つの作品が放送された。
一つは「魔法少女まどか☆マギカ」、そしてもう一つがこの作品である。
「少女革命ウテナ」に続いて、幾原邦彦が脚本・監督として手掛けたオリジナルアニメ。
二人の兄と妹、もう一人の少女をメインのキャラクターとして、ピングドラムの謎をめぐる陰謀渦巻く物語を重層的かつ有機的に構築した群像劇である。
死と再生、愛と自己犠牲という重いテーマにも関わらず、ポップなデザインと愛嬌のあるキャラクターは作品に彩りを与えている。
大震災により騒然とする日本において、「生存戦略!」という台詞は非常にリアルに生々しく響いたものである。
この作品が素晴らしいのは、シンボライズされた表現が神秘的で奥深いところにある。
光と闇を象徴する二人の兄と、それを映し出す妹という存在。
呪われた運命の路線を乗り換えるピングドラムとは何であったのか、観る者は最後にその真実を知るだろう。
これもまた日本のアニメ史上、最高峰の作品の一つである。