岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
それぞれの、未来へ
原作未読。本作は分類上は第2期となっていますが、そもそもこの作品は分割2クールものとのことなので、前作あわせて2クールで一つの物語として見るべき作品かな感じました。
後半クールの見どころは、八軒の馬術部での試合を通した成長、駒場の離農による退学、御影の将来を巡る葛藤あたりでしょうか。そのような比較的重いテーマに八軒も関わりながら、終盤は自身の家族との関係も描かれています。
1クール目は農業高校という特徴を生かした生き物や命を中心に扱っていた半面、2クール目は八軒自身や八軒の友人など「人」をテーマに、人物描写に重きを置いている印象です。駒場や御影を中心に、農業というある意味狭い世界ならではの、彼らの悩みや葛藤が明らかになっていきます。その一方で八軒自身の成長については、進展もあったものの、そう少し時間がかかるかもしれません。
作品全体を通して、農業や酪農の世界の魅力や面白さをエンターテイメントとして描きながらも、この世界の現実や厳しさもしっかりと描く、製作者の姿勢には好感が持てました。ただ2クール目は主に「農家の経営」や「お金」など人生全般に関するシビアな展開や描写も多かったので、農業高校でみんなでワイワイという展開はあまりありません。個人的には農業学校の延長線として、農業や酪農の世界で生きるとはどういうことか、を大人の世界から描いた点で、意義のある内容だと感じました。自分も学生時代に見ておきたかったと思えるほど、色々と得るものが多い作品でした。
作品を通じて、多くのキャラクターや生き物が、様々なメッセージを視聴者に訴えかけてきます。それらはすべて正解とは不正解だとか、簡単に答えが出せるものばかりではないでしょう。一つ確かなことは、今生きているすべての命には未来があるということ、だと思います。八軒やエゾノーで頑張る彼らを見ていると、未来のことはまだわからないけれど、前へ進もうと思わせてくれる、そんな作品でした。
3期についてはまだわかりませんが、楽しみに待ちたいと思います。