えこてり さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
キラキラと輝く青春の叙情詩
と臆面もなく書くと気恥ずかしいが、
この物語は主人公、深水透子の眩しくて微笑ましい叙情詩である。
今考えると、名前も透明感丸出しでとても良い。
久々に感想を書いてみたくなる作品に出会った。
まだ一周しか観賞していないのだが、その時点での自分の感想を書き留めておきたい衝動に駆られた。
実は1度挫折したことがある。
PAWORKSの作品にハマってTT・花いろ・tt・SHIROBAKOと、
個人的に最高に面白かった作品を観てその延長でと。
西村監督で恋愛青春物でということでttぽいのを期待していた。
ところがグループ同士で恋愛禁止だの解禁だの言ってて3話ほどで折れてしまった。
その後、不評で意味が分からないという事は耳にする程度だったが、
自分も色々な作品を観て少しは考え方に変化が出来たと思い再挑戦した。
これから観るかもしれない方には、
伏線とかその回収とか一切考えずに、
映像、BGM、環境音、音楽、芝居による総合芸術を、
心を真っ白にして堪能して頂きたいなと強く思います。
以下ネタバレ雑感ですが、あくまでも個人的感想ですので
感じ方は無数にあると思いますです。
{netabare}
そもそも最初に観たとき勘違いしていました。
駆と透子の特殊能力について、これは未来を映す能力ではなく、
未来の願望への憧憬や恐怖、もしくは悪寒や悪い夢といったような事の、
表現手法の一つだと思いました。
例えば高い所にいれば、「もしも落ちたらどうなるだろう」
なんて事を瞬間的に考えてしまうことは誰にだってあるでしょう。
美術室では「好きな異性と二人きりだったら」とか
海岸ではやなぎの嫉妬を感じ取り、黒い鳥の表現だったり。
決め手は後半でお母さんが「そういうの若い頃はみてたけど」という台詞でした。
ですので、これらがどういう能力なんだろうとかいう疑問は早々に消え去ったのも、良かったかもしれません。
これが最後まで明示されないので最後まで観て不満だった方も多かったようです。
まだ恋愛に不慣れな透子が、自分の恋にもろくに気付かず右往左往する
物語ということになるでしょう(といっても高校生でこれはどうかと思うけど・・こんなに初々しいのはアニメだから許す)
雪哉とやなぎの同居設定も、ttの比呂美と伸一郎の時も思いましたが、
非現実的すぎていらんこと考えてしまう一因になります。
かわいい同居人にあれだけケアされておきながら、
ぬけぬけと透子が好きだとか、そりゃ無いわ雪哉・・
などと下世話なことを考えつつ、結局は身近で一途なやなぎに惹かれていくのだが、
そこまでの課程が素晴らしくよかった。
透子に振られてやなぎに告白されて、合宿へ行って帰ってくるまでの
男子高校生の心の振動みたいなものが。
祐は最初から直球だったけど、幸のちょっと嫌な部分が分かってしまって幻滅してるのがとても可愛らしかった。
その後の麒麟館で、「月がとても綺麗だ」のくだりは綺麗だったなぁ・・
幸はあそこで透子を友人に、祐をボーイフレンドとしてみることに区切りを付けたのかな。
11話で皆なんとなく一歩踏み出した感じになり、
中盤でOP曲が挿入されるところで気分は最高に高揚する!
しかし、駆と透子はまだ前進できないでいます。
二人の共通の悩みである「未来の欠片」(実はただの妄想)を解決するために、駆の家で演奏会を開くことに。
そして12話。
ん、過去回想?、、いや違うな。
あれ?????
????????
やべえ、意味が分からないってこれか!?
ふと夢から目が醒めたように現実に引き戻される。
あぁ、演奏中にずっとこれ見えてたのかと納得。
イマイチよくわからないけどあまり気にしないでおく。
結局、駆は母親と一緒に街を離れてしまった(と思っている)
二人は惹かれ合っていたのだけど、恋人にはなれなかった。
理由は色々あるだろうけど、考える気はしなかった。
駆は仲良し5人組に一石を投じて、自分含め皆を一段成長させて去っていった。
切ないなぁ・・なんとも言えない後味が残ります。
OP映像をよくみると、未来の欠片ぽいシーンでは駆が居ないのですよね。
気になります。
◆音楽
OPはChouCho、「夏の日と君の声」
絵に描いたような爽やかな曲。よくOPは良いのに作品は・・って言われてますけど、
そんなことはない、ばっちり作品に合いすぎてます!
最終回の挿入歌もよかった!
EDは空気を読まずに明るい「透明な世界」nano.RIPEきたー
この曲のインストピアノバージョンが印象的なシーンでよくかかってました。
劇伴も違和感なかったですが、やはりショパンの曲が強すぎます。
ノクターンに始まり後半のドラマチックなリクエスト(曲名失念)曲等々、
ショパンの曲を使えば自動的に良い感じになってしまうからずるいです。
◆声優
透子役の方はこれがデビュー作なのかな。
たどたどしい感じがとてもあっていました。
他は早見さん種田さん東山さん等いつもの面々。
そういえば東山さんの妹キャラだけ、アニメっぽさが特に出てました。
◆最後に
自分でもまだ整理されてない部分が多いのですが、
青春の輝いたほんの一瞬を切り取るような作品だったと思います。
個人的にはとても気持ちの良いものでした。
機会があればもう一回観てみようと思います。
乱筆乱文で失礼いたしました。{/netabare}