蒼い✨️ さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ボンズ時代劇。
アニメーション制作:ボンズ
2007年9月に公開されたアニメ映画。
【概要】
完全オリジナル時代劇アニメ。監督は、後に『花咲くいろは』を手掛けた安藤真裕。
戦国乱世の日本を舞台に、徹底的に戦闘作画に拘ったアクション作品。
侍が覇を争う群雄割拠の戦国時代。合戦に次ぐ合戦や下克上が当たり前に存在している。
旅人は野盗に襲われる、そんな物騒な世界。
明国の武装中国人集団から狙われている、柴犬を引き連れた身寄りの無い少年“仔太郎”は、
廃寺で、刀を紐で縛って封印した奇妙な浪人“名無し”と出会います。
名無しは、侍を引き連れて仔太郎を追ってきた大陸の刺客から巻き添えで襲われて返り討ちにした縁から、
仔太郎から正式に用心棒として雇われます。
仔太郎は、両親を亡くした自分を中国大陸から日本に連れて来て色々と助けてくれた、
禅僧祥庵がいる万覚寺を目指します。
かくして、ふたりと一匹の旅が始まったのでした。
仔太郎が付け狙われているのにも、とある目的があるようです。
なお、物語は明国皇帝の命を受け仔太郎の身柄を欲する中国人集団。
金目当てに中国人集団と組んでみたものの、利を欲して裏切る気が満々の領主とその配下の侍たち。
各々の欲と使命が絡んで物語は血生臭さを増していくようです。
【感想】
主人公が過去のトラウマを乗り越えて剣を振るうというお話なのですが、
ストーリーがどうとかゴチャゴチャ細かいことを一切考えずに、
クオリティの高い作画と躍動感あふれるバトル=ボンズの本気!を楽しむアニメですね。
↑こういう書き方をすれば語弊があるのですが、
最初から最後まで話の流れを追っていけば、人物関係、登場人物の心の流れ、何故こんな展開になった?
わかりやすく情報が整理されていて、ぱっと頭に簡単に染みこむようになっていますね。
この映画の主役であるアクションシーンを楽しむのに邪魔にならない程度に、
ストーリー自体は脇役としての役割に徹している感じです。
作画が凄いといえば、乱れ飛ぶ矢の雨に飛び散る血飛沫。
戰場(いくさば)で疾走して位置を変えながら男達が斬り合う!斬り合う!
アクションシーンのカメラワークとスピード感は迫力満点で、
数十年前の技術では予算と人員的に負担がかかりすぎて無理だったでしょうね。
動物作画も良いですね。牛や馬なども登場しますが、
仔太郎の愛犬・飛丸の抜群に可愛いこと。SHIROBAKOでいうところの作画の芝居というのを感じました。
声優は、メインのふたりに"名無し"長瀬智也と“仔太郎”知念侑李で、脇役を実力派の声優で固める作り。
ジャニーズタレントの声優起用には私は基本的には大反対なのですが、
この作品に限っては作品を壊さずに、特に長瀬智也の演技が充分に主人公に合っていたですね。
まあ…この作品で共演した山寺宏一や石塚運昇といった名優と比べるべくも無いですし、
あくまでも本業でない中で十分に仕事をしたという範疇ですけどね!
でも…この作品で一番演技で印象に残ったのは故・松来未祐さんの数秒間の絶叫(出番これだけ)なんですがw
やっぱり本職は違うなあと!
このアニメは簡単に人が死ぬ。
刀で斬れば手足がちぎれ飛ぶし、
死んだ人間は物言わぬただの肉塊。
必死に剣を振るって強い者が勝ち、弱い者は死ぬ。
物語は至ってシンプルで余分なものをごちゃごちゃと持ち込まない潔さが気持ちいい。
戦いに現代的な正義や思想を持ち込んだり、瀕死なのに長々と喋ってから事切れたりと、
創作にありがちなパターンに飽きた人におすすめ!
この作品には、そういう要素は一切ありません。
この作品で不満があるとしたら、
ストレンヂア=異邦人が日本で好き放題に暴れてて、日本人が脇役であるということでしょうかね。
一応日本人の武士が手練の異邦人をぬっ殺す場面もちゃんとありますので、面目躍如していますが。
細かい部分をイチイチ気にしなければ一級のアクションアニメ映画として楽しめる作品でした。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。