kei さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
切ない・・・
1 概要と見どころ
原作は瀬川はじめ先生の『喰霊』(月刊少年エース連載)であり、本作はその前日譚という位置づけ。監督は、『アルドノア・ゼロ』や『Fate/Zero』でおなじみのあおきえい監督です。
「愛するものを、愛を信じて殺せるか」というテーマ。
主人公である土宮神楽と諌山黄泉の「姉妹愛」が中心的なテーマですかね(恋愛もあるにはあるが原作ほど濃くはない)。
とてつもなく切なく、余韻が深く残る作品です。
本当の姉妹のようにただ一緒にいたいだけの2人の仲を宿命が引き裂く。
「人間臭さ」や「時間の不可逆性」がさらさらとしっかりと描かれています。
{netabare}3話から5話あたりまでが幸せだったからこそ6話から8話あたりの黄泉は本当にしんどい…。
全体の構成は、時系列だと3話から始まって順に12話に進んでいく。1話2話は10話あたりの内容を先出しているものとなっています。
1話はいろいろな方が亡くなり、主人公と思われていたバイク乗りの男女がいきなり退場して視聴者は置いてかれますが、そこは辛抱です。
本作の主人公は2話のポッキーかじって登場する女の子です。
「ハロ~、神楽」といきなり目がいっぱいあるライオン引き連れ刀を持った女子高生にとまどう理由が分からないと思いますが、そこも辛抱です。
その女の子も本作の主人公です。
この台詞もそうなんですが、本作での黄泉役の水原薫さんの黄泉の表現がとても魅力的です。
{/netabare}
12話見終えると1つの作品としてよくまとまっていたという印象。
OPの「2人は戻れない」という歌詞や、作品名の「零」の意味などを考えながら見るとより一層楽しめる作品かなと思います。
ぜひ一気見を!
2 印象に残ったシーン
{netabare}
8話か9話かあたりの「姉妹の楽しい思い出の象徴のポッキー」と「『ごめんなさい神楽』で埋め尽くされた携帯画面」の対比はずっしりしんどかったです…。
そして最終話の「黄泉が携帯待受の2ショットの自分の顔に刀を突きさす」シーンは本作中で私が一番印象に残ったシーンでした。
殺生石のせいで自決できない黄泉。
黄泉を認められなかった1回切りの失敗と父との別れを経験し憎しみや悲しみも背負っていくと決意した神楽とは対照的に、辛さから逃れるために憎しみに心を預けてしまった黄泉が、憎しみで自分が救われることそして妹と過ごす大切な時間を捨てて最期の最期で祈った「愛する神楽を守りたい」という願いの強さを克明に表現した素晴らしい描写です。
涙腺崩壊でした。
当初は殺生石に毒されて人間を次々に殺め神楽の前に現れ、「本当に強くなった」「甘くても私より優れている」と嫉妬と憎しみを込めて言い放ち、「大っっっ嫌い!」と神楽を蹴り倒し、「私を姉と呼ぶな!」とまで吐き捨てた黄泉。
そんな彼女が死ぬ前に神楽の頭を愛おしそうになでながら優しく話す一言一言も尊いものでした。
{/netabare}
3 原作
本作は原作を読んでいなくても十二分に楽しめる作品です。
{netabare}
ただ、本作はある意味バッドエンドで終わります(私はそれでもいいと思っていますし、考え方次第では十分ハッピーエンドとも言えると思っています)が、「こんなの悲しすぎる!!」と感じる方はぜひ原作を読んでください。
全12巻です。黄泉は1巻から悪霊で登場します。新キャラも何人か登場します。
最終回見終わって胸がキュッとなっていた私の心は、12巻を読み終えたとき、結構救われました。ご都合主義ともとれる内容ですが、本作の結末が切なすぎる分、この終わり方は「アリ」でしょう。
最後の戦いで黄泉に響いた神楽の想いも納得だし、「軸」はぶれていないと感じました。
原作のメッセージを1クール12話に濃縮して見事に表現している本作のすごさが改めて感じられます。
神楽と黄泉の宿命、白叡の掘り下げ、三途川との決着など本作で消化しきれなかった部分も出てきますので読んで損はないかと。
(もっとも、個人的には原作の主人公けんちゃんには1巻から12巻まで通して感情移入できなかったし、話のスケールが大きくなりすぎていてすこしわかりにくかったのでそこらへんは微妙でした苦笑)
{/netabare}