STONE さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
そして誰もいなくなった
主人公の仲間であるキャラは徐々に増えていくという
パターンの作品が多い中、順次消えていくという逆パターンが
目を引いた。
当初はSF色のある学園バトルコメディといった感じの作品
だったが、話が進行するにつれ、各キャラの生前の悲惨な
過去、そして死後の世界の学園で報われていくシーンが
描かれていくと、シリアス度が増し、かつ感動的な話になって
いく。
特にラストのかなでがこの世界にやってきた理由を知るに
至っては「そうだったのか」と思ってしまった。
「Angel Beats」とは「天使の鼓動」だったのか。
この個々のキャラに焦点を当てた話はいずれも泣かせて
くれるが、こうなると視聴する側としては「次は誰だ?」と
いった部分が気になり、注目すべきは音無とかなでの行動に
なってしまう。
そのため序盤からあった「この死後の世界のシステムは誰が
いかなる理由で作ったのか?」という部分に関しては関心が
弱まってしまったように思える。
各キャラは個性的であったため、作品内で描かれなかった
他のキャラの過去も見たかったのが本当のところで、最後に
みんなまとめて消えちゃったという展開で終わってしまった
のはちょっと残念。
1クールで全キャラを描くのは無理だろうから仕方ないの
だが、2クールでじっくり見てみたかった。
全体としては、それなりに中身の濃い話を1クールで駆け
抜けたという印象。そのためプロットは結構穴だらけだった
ような感じだが、いい話だったとは思う。
ただ、「死にきれない思いを抱いた死者が、学園において
人生の意味を見出していく」という部分に主軸を置くなら、
学園を中心とした世界観の設定などは観念的なもので良かった
ように思う。中途半端にSF的説明をするから、終わって
しまうと説明不足な感じが残ってしまった。
本筋以外で印象に残ったのはGirls Dead Monster。
学園内のガールズバンドという位置付けのため、この作品と
同時期に放映されていた「けいおん!!」の放課後
ティータイムと、どうしても比較してしまう。
共にヴォーカル&ギターがギブソン製だが、あちらが
レスポールなのに対して、こちらはSG。今書いてて気付いた
けど、どちらも「ゆい」だった。ちなみにまさみはフェンダーのストラト。
もう一人のギターは共にフェンダーで、あちらは
ムスタングで、こちらはジャズマスターと、いずれもやや
通好みのチョイス。
ベースはあちらがフェンダーのジャズベで、こちらがG&Lの
L-2000、ドラムはあちらがヤマハで、こちらがパール。
ギターのチョイスに関しては、先行者である放課後
ティータイムに対して、似せていながら被らないように、意図
しているように思えなくもない。
個人的にはいずれもセンスのいいチョイスだと思いますが。
残念だったのは歌のシーン自体は、別の人が歌っていた
こと。大人の事情というやつかもしれないが、声を当てていた
声優さん(沢城みゆきさんと喜多村英梨さん)に歌って
ほしかったかな。
音楽と言えば、ランニングベースが印象的だったBGMも
良かった。