まゆげ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
100万点マイナス20点
すばらしい作品です。
100万点あげたいです。
ただ、隙も多い作品でして、100万点から20点くらい引いておきます。
アイドルアニメを語る上では欠かせない傑作です。
観ていて感じるのは、製作者の方々が恐ろしく気を使っていること。
それぞれのアイドルにファンがいるであろうこの作品。極力、すべてのアイドル達を画面に映そうとしています。確かに自分の好きなキャラクターが出ると嬉しいな。
キャラクターたちの関係性がフラットであるとも感じました。28歳の大人も小学生も立場は対等、仲間です。
2話の宣材写真の回で、魅力を表現するのが一番だよ、って言ってました。まさしくそれ。彼女達のキャラクターを十二分に理解し、表現しています。
それだけでもう100万点あげます。
ここまでしっかりしたコンテンツなので、下手な方がつくるとストーリーの犠牲になるキャラクターが出てきちゃいます。ただ、本作そんなことは無いです。
また、空気感も素晴らしい。一分の迷いも無くキラキラした雰囲気が漂っています。一体感と仲の良さが愛おしいです。ちょっと自分きもいな。
{netabare}終盤のエピソードは感動させられました。
何より春香がいい。彼女こそ私ですよ。みんなのことが大好きで、バラバラになって欲しくない。私の気持ちと同じです。
地に足の着いたキャラクターに感じます。ポジティブで、気配りも出来て、可愛くて、みんなのことを思ってて、ある意味一番現実離れした、理想の具現化のようなパラメータを持っています。それを彼女のリアクション、変わっていく状況に対する彼女の考えを丁寧に描くことで隣にいるかのような現実感だしてきますね。
13人のアイドルを描写するにあたって、取捨選択にも気を使っていると感じました。
なんせメインキャラが多い。なので2クールあっても尺が足らなくなる作品です。泣く泣くカットした描写や単純化した描写も沢山あったと思います。
例えば、千早の過去。ぶっちゃけよくわかりませんでした。実際にはどんな状況だったのか。彼女のそのときの心情は?具体的な描写を避け、千早のトラウマを課題として、挫折として多少象徴的に描いていると僕は感じました。
こんな書き方をしましたが、物語上の困難として十分な描写だと思います。千早の苦悩、周りの苦悩が痛いほど感情移入させられました。
象徴的にトラウマを描くことで鬱っぽい苦しい話でしたが、この後に救われるよと言ってくれているような気がして私は楽に観れた気もします。
プロデューサーの立ち位置も絶妙ですよね。
アイマスの性質上避けては通れないキャラクターでしたが、視聴者から好かれるキャラクターになっていたと思います。
本作の主人公はあくまでアイドル。プロデューサーは主人公を助ける、言わばヒロインである、というスタンスが明確でそれが受けたと感じます。
まさしくこのヒロインの立ち位置がゲーム内でのプレイヤーであり、それが視聴者の視点、さらにアニメスタッフの視点でもあるように思えます。作る側も見る側もみんながこの意識を共有していることによって作品に漂う一体感、肯定感が強化されているように思えます。
キャラクターの成り立ちは凄く記号的ですが、プロデューサーはしっかり人間扱いされているところもナイスです。彼自身にも成長の物語は用意してあって、彼の考え、が実は物語の根幹を成していると思います。
作画がいい!凄くいい!OPがいい!
愛ですね。ダンスシーンはぐりぐり動きます。25話のライブではカメラをぶんぶん振り回します。カロリー高そうな作画、他じゃあなかなか観られませんよね。
OP大好きです。どっちも。
特に好きな作画は2期OPで春香が走りながら舌なめずりするところです。2次元アニメーションとして最高に気持ちのいいシーンだと思います。
また、照明効果、背景も利用して、状況を絵で見せるこれぞアニメーションな素晴らしいシーンも数多くありました。千早の家の、暗い照明、広々とした冷たい空間、開けられていない段ボール、彼女の状況をはっきりと表していました。これも気持ちのいいアニメ―ションですね。
こっからちょっと不満点をいくつか。
まず律っちゃん。予め断っておきますが、別に彼女のこと自体は嫌いじゃないです。
彼女がステージに立つ理由が読み取れなかった。私が悪いのかもしれませんが、すべて伊織や亜美真美によって引きずりだされたように見えてしまった。
アイドルとは、を彼女たちに問うた作品であるからには律子自身のステージに立つ理由が欲しかった。
竜宮小町の765プロのメンバーとして彼女を報いてあげたいならステージ以外にもふさわしい状況があると思う。ゲームの設定に引っ張られているのでしょうか。
次に黒井社長。キャラクターとして敵として薄っぺらい。あれじゃあ只の舞台装置にしかなりませんよ。あくまで主人公のアイドルたちの障害でしかなく。小物。結構簡単に撃退される。
こいつもキャラクターとして掘り下げてこそ作品世界が豊かになったと思います。
とはいえ、こいつも取捨選択の結果ですよね。単純な敵として描くことで、彼に焦点を当てずに少女たちの葛藤にカメラを向けた結果だとも思います。
あとは、あずささん、無能かよ。別にあずささんが嫌いなわけでは無いんですが。
28歳として年長者としての気遣いが欲しいぞ。
春香が折れた時、千早がみんなを集めましたよね。誰にでも優しいあずささん、それまで「あら、大変だわね。でもみんな忙しいし仕方ないわ。ごめんね春香ちゃん。」って思っていたのでしょうか。あなたならもっとみんなに働きかけられた!始めに言った言葉と違いますがストーリーの犠牲者的側面をちょっと感じます。{/netabare}
不満点もありますが、そんなの100万点マイナス20点程度です。おすすめです。