どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
吹奏楽はオマケ程度の人生相談&青春ミステリー。佳作未満ながら、氷菓とは別の持ち味もあり。
P.A.WORKS制作の日常系青春ミステリー全12話です。
京都アニメーションの「響け!ユーフォニアム」「氷菓」吹奏楽と日常系青春ミステリーの名作と比較されがち、視聴者の評価は佳作未満に留まっている…
でも。私はハルチカも結構好きでした。
おバカだけど元気で前向きなチカちゃんがかわいい♪
…「氷菓」かと思いきや「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」の路線に近いです。
あと吹奏楽だけでなく「ラブコメの波動」も意外と乏しい点も特徴。
{netabare}『物語』
ヒロインのチカちゃんが弱小吹奏楽部で部員集めながら頑張る青春ストーリー…
はあくまでも推理劇の舞台装置、ビックリするくらい吹奏楽しない!
部員足りない→部員候補勧誘→候補は悩み抱えている→チカちゃん元気にかき回しつつハルタが名推理で解決→吹奏楽部員集まっていく。
…部員集めは部活物の王道なんですが、青春や吹奏楽の為というよりは、推理劇の舞台装置という感じな作風。
青春やラブコメは、チカちゃんだけでなく男子のハルタも顧問の草壁先生ラブなので、主人公とヒロインが恋仲ではなく恋仇という、ラブコメの波動を感じさせない関係であった…
↓以下批判的
本筋は名探偵ハルタが部員候補の抱える悩みを名推理で解き明かしていくミステリーにあり。
ハルタによる推理劇はバリエーションあり興味深いのですが、高度なウンチク披露する感じ、視聴者は(ほほう?へぇ~)傍観するしかない。
探偵無双で当事者の人生掘り起こす…「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」路線に近いです。
推理劇の面白さにバラツキはありますが、5話の退出ゲームなど知的な雰囲気は良かったです。
…犬泥棒の回は、ちょっと嫌な感じ。
青春ミステリーといえばかの名作「氷菓」を彷彿としますが、氷菓が純然たる日常の些細な出来事から青春していくのに対し、ハルチカが扱う題材は当事者にとって人生の一大事が多い。
部員候補含めて重い話多いのは、爽やか青春系とは些か相性が合わなかった感あり。
高校生には荷が勝ち過ぎるテーマを、しかも1話完結で纏めるのはちょっと…
(氷菓は1つの事件に数話掛けつつ、青春やラブコメも丁寧に進行)
日常系青春ミステリーなので殺伐さは少ないものの、前述の通り一介の高校生が踏み込むのに若干の違和感。
各話ドラマの質は高いものの、1話完結で纏めるには不向きな回もあり、余韻において「櫻子さん」より落ちる。
↓以下好意的
…それでも、回によっては心温まる話も結構ありました。
また、騒がしくも前向きなチカちゃんのペースにハルタ他の部員たちも巻き込まれる感じの、本作特有の雰囲気は好きです。
ここら辺文章にしづらいのですが…
チカちゃんを中心にした少年少女の掛け合いといいますか、楽しそうだなぁと思った。
ラブコメにならない男女の気の置けない関係も、まあ悪くは無いかな。
吹奏楽部以外のクセ者たちも絡む後半含めて、十分に本作特有の青春感を感じた。
青春物としては、かなり深い人生の悩みにまつわる話なので重めながら、人生の先達たちから、高校生たちが影響受けていくドラマは良質。
未来ある若者たちが、これからより良い人生歩めそうだな…そう思わせてくれる辺り、良い青春ドラマだと思ったです。
終盤も(響け!ユーフォニアムと比較しちゃダメですが)一応は吹奏楽部としての結束見せてくれたのも良い。
吹奏楽物としては物足りませんが…青春劇としては視聴後の後味は悪くなかったです。
…総じて
「ユーフォ以下の吹奏楽部を舞台に氷菓以下の謎解きをする。しかし、だからといって、つまらないアニメではないと思ふ。」
※ 剣道部さんのレビューより 同感かつ的確!
名作級2作と近いイメージ持たれがち、その視点だとどうしても期待値以下なのと、「王道な青春ドラマと人生劇の相性悪い」点が、評価に響いたのかな~?と。
惜しい面が多く佳作未満とは思いますが、2016冬期で好きなアニメの一つでした。
『作画』
流石はP.A.WORKSキャラデザも背景も綺麗です。
チカちゃんかなり美少女なんですが、目に力を感じます。
私的には、可愛いと思う。
吹奏楽シーンは、省略残念。
『声優』
チカちゃん役のブリドカットセーラ恵美さんがはまり役でした。
ブリドカットセーラさん史上一番のアタリ役なのでは。チカちゃんの魅力満点。
芹沢さんの瀬戸麻沙美さんの好演も光る。
ハルタの斉藤壮馬さんの振り回されキャラも中々。
草壁先生の花江夏樹さんは落ち着いた大人の男性の風格十分ありました。
オリキャラの朝比奈先輩(姉)の小見川千明さんは小見川さんそのもの♪
他にも、演劇部看板女優の福圓美里さんの熱演ぶりも凄い。
『音楽』
OP「虹を編めたら」は非常に爽やかで、いかにも吹奏楽&青春!という感じ。
ED「空想トライアングル」も主題に合っている。
楽曲面では氷菓より好みです。
…クライマックスの演奏が地味なのが残念。
それでも、オマケとはいえ吹奏楽要素も悪くは無かったです。
『キャラ』
何といってもヒロイン・チカちゃんが可愛い。
頭悪いけれど理屈より先に行動する元気娘、喜怒哀楽感情豊か、いつも前向きマイペース。
他作品にあまりいないタイプなので余計可愛く見える。
重めの人生劇も、チカちゃんが周囲を巻き込む事で、全般に独特の雰囲気醸成していた本作のムードメーカー。
…正直本作は、チカちゃんにかなり救われている。
主人公ハルタは「男子なのに男性教師ラブ」というBL要素で本作敬遠される要素に…
いやでも、恋愛というよりも尊敬ですし…
「カードキャプターさくら」のシャオラン君の前例もありますし!
男子が男子を敬愛する…良いじゃないですかー。
青春物として人生の先達を慕う、微笑ましく見てましたよ。
…名探偵としては、チートキャラなのは良し悪しあり。
チカちゃんとはラブコメせずに絶妙な距離感のベストパートナー感好き。
草壁先生は「響け!ユーフォニアム」の滝先生とどうしてもイメージ重なりますが、滝先生より遥かに優しいです。
その分吹奏楽物としては地味なんですけど。
終盤は人生の先達として見せ場あり。
部員の個性は中々で、また良き仲間が多い。
中国系アメリカ人マレンの優等生感好き、初回エピソード以降は地味ですけど。
芹澤さんは「吹奏楽の青春物」ならば彼女こそがメインヒロイン格であった。
オリキャラの朝比奈姉妹は姉の印象しかない(声のせいで)
部員以外の「ブラックリスト十傑」がクセモノ揃いで面白い。
…もっと彼らの奇行もとい活躍が見たかった。{/netabare}