芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
世界の創造
背中に羽をつけ、光輪を頭に乗せる灰羽たち、彼らは金銭をあつかわず、古着と食べ物をもらってホームで慎ましく生きている。そして彼らはある日、突然いなくなってしまう。
非現実のファンタジーだけれど人間本来の素朴な感情や営みへのノルスタジーが作品をゆるやかに流れている。
明確なメッセージ性や、ハラハラするようなサスペンス性、息を呑むようなどんでんがえし、そういったものはなく、世界観は曖昧だ。
そこが良いと思う。
多分何より言葉少ななのが功を奏している。
ー 以下懐古主義者の愚痴 ー
それにしてもなぜこういう作品は年を追うごとになくなってしまっているのだろうか。
アニメ文化はアキバ系と揶揄され、ニッチな趣味であった昔に比べ、次第に大衆の理解を獲得し人権を得たという。実際、いわゆるアニメらしいイラストとのタイアップはしょっちゅう外でも見るようになった。スマホゲームなどで、アニメ絵のキャラクタの出るものをやってる人なんてのも良く見る。アニメの作画も随分力を入れてるんだなとは思う。だが絶対にアニメーション作品の(少なくとも自分にとっての)芸術性はごみ同然に打ち捨てられてしまった。
別に女を非人間的にデフォルメしてセクシャルな魅力を押し出すことも、奇抜な設定、ストーリーやワクワクする展開や格好いい「格言」だとかも、職人芸としては褒められるし、そういうジャンクフードもときには食べたくなる。しかしアニメーションという媒体を使って芸術を作ろうという野心はもう見当たらない。
これはアニメの大衆化と低年齢化が原因なのか。むしろ人間の良識の変化が原因だろうか。大量消費社会において、溢れる情報を前に、もはや人類は深く考えるのをやめたらしい。
別に露骨に商業受けを狙ったような作品があるのも構わないけれど、1クールに1,2個は商業的というより、やりたいことをやったような、素朴な芸術を紡いで欲しいと自分は切に思うのだが。