どらむろ さんの感想・評価

4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

未来日記作者の中二病バトル。（良い意味で）B級、ギャグに昇華（転化？）

「未来日記」の、えすのサカエ作品です。全10話。
セカイ系寄りの異能バトル系なのですが、ツッコミ所満載で、どちらかというとギャグアニメっぽいです。
真面目に評するとB級というか所謂「クソアニメ」に類する。（好意的な意味で）
「聖剣使いの禁呪詠唱（ワードブレイク）」的な面白味があるかも。
客観的に見ると駄作ですが、個人的には結構好きです。
…久野美咲さん演じるブラコン妹ちゃんが良い感じに狂ってて可愛いです♪

{netabare}『物語』
近年のアニメで意外と希少な、荒唐無稽でコテコテなセカイ系中二病感が魅力（…か、イタいと見るか）。
流石は未来日記の作者だなぁと感心（良い意味で半ば呆れ）。
主人公・星宮エイジが10年前に最強の異能（世界支配）で1度世界を滅ぼしていて、その十字架を背負いつつ、不治の病で余命いくばくも無い妹のセナちゃんを救うべく、「太宰府政庁の10人衆」（世界征服狙う異能集団）の思惑に乗せられる形で世界征服を目指すのだった…。
良い感じにセカイ系中二病な設定…からの、異能駆使した駆け引きやバトル！
これは「コードギアス」っぽいワクワク感が！？

と思いきや。異能設定や駆け引きが非常にいい加減でB級感が漂っていたり、大真面目だが狂っていて、アホなキャラ達のザンネンさが前面に出ており、真面目に本格的な中二異能世界征服物として見ると、失望する事間違いなし。
…半面、ギャグやコメディーとして見ると、中々笑えるシーン多いです。
不死身の異能の体を張った死亡ギャグとか、シュールな可笑しさがｗ
悪趣味で万人受けしなさそうですけど…。

最大の見所は星宮兄妹の兄妹愛の尊さ（と、妹の静かな狂気）…
中盤以降のセナちゃんの健気さと狂気は萌える！

異能バトルはユニークな見所もありますが、やはり大雑把なので、ノリと勢いで楽しむタイプ。
「オーダー！」とかの掛け声やポーズは、（中二病だなぁ）と生温かく見れれば、中々に熱いシーンもあり。
全般にB級感は否めませんが、私的に本作の異能バトルは嫌いじゃ無いです。

物語の主軸はエイジがセナ救うべく世界征服（というか「九州征服」）目指すのですが、最強異能ある割に10人衆の傀儡（かいらい）状態で主体性に乏しく、よく分からんうちによく分からん状況に流されている感じがして、全般的にはさほど面白くないのが難。
未来日記作者の真骨頂なヤンデレ気味な愛憎劇も見所ではあるのですが、全10話駆け足でダイジェスト感強く、頭おかしいキャラ達にエイジが翻弄されるノリと勢い重視、内容は乏しい感。

それでもエイジ（とセナ、そしてラスボスの源内）の目的や願望、勧善懲悪な構図（健気なヒロインが卑劣な敵の手に落ちる王道）が分かり易いのは、終盤に向けて悪くない。
「多元宇宙」「並行世界」に無限分岐して、全員の願いを叶えるユートピア？よく分からん難解なラスボスの提案も、未来日記作者らしいセカイ系なスケールあって（よく分からんけど）良かった。
主人公的には拒絶は王道なんですが、説得力は微妙かも。

総じて、未来日記並みのクオリティー期待すると間違いなく駄作なんですが…
真面目な内容には目をつむり、中二病や、えすのサカエ作品特有のノリをネタ的に楽しむB級アニメでした。


『作画』
キャラデザは悪くないです。特に病弱美少女セナちゃんはかなりヒット。
光る瞳が中二病っぽくてかわいい。シャワーシーンが萌える♪
画面が全般的に暗いですが雰囲気は出ている、バトルは大雑把だが派手さは中々。
流血描写がグロいものの、作風故か意外にアッサリしている。


『声優』
MVPは、星宮瀬奈役の久野美咲さん。
健気で可憐な感じ…からの、ヤンデレ感が真に迫っていてゾクっとした。
「あなた邪悪だわ…」「ごめんお兄ちゃん私抵抗できない…」
等の囚われのヒロイン感も素晴らしい。
久野ちゃん新境地の好演じゃなかろうか。テンプレ幼女とは一線を画す凄味も出せる。
「世界征服謀略のズヴィズダー」の星宮ケイトちゃんと、奇しくも星宮繋がり。

鈴の三上枝織さんは、まぁまぁ。メインヤンデレとしては、今一歩かも。
壱与の田所あずささんは良い感じに狂気。
エイジの森田成一さんや、ローリンの石井真さん等安定感あり（石井さんは未来日記の西島刑事）
宮本充さんや立木文彦さん若本規夫さんなどベテランも多かったです。


『音楽』
OPは未来日記に続き妖精帝國の歌で、良い感じに中二病っぽい。
BGMが（良くも悪くも）本作特有のノリを支えていて良い感じ。
スベッていると見るか、本作特有のノリと好意的に見るか（私は後者）


『キャラ』
主人公・星宮エイジは決して気弱ではないものの、流され系で主人公としては微妙。
妹の為に、バトル面でも善戦してはいましたけど。

メインヒロインと思いきやメインギャグ要員だった鈴（りん）ちゃんは、劣化我妻由乃…
バジリスクの天膳殿のお株を奪う死に芸で体を張って笑わせてくれる。
「りりり、鈴殿がまた死んでおるぞー！？」
本作の大雑把さの弊害か、掘り下げや活躍はいま一つ。ツンデレやアホの子っぽさは可愛かった。

セカンドヒロイン、壱与ちゃんの方がグイグイ押してきて可愛い。
こちらの方が正統派なヤンデレなのでは。（鈴はメンヘラ寄り）
可愛さは十分なんですが、やはり掘り下げが…

本作の目玉ヒロイン、妹の星宮瀬奈ちゃんは特筆すべき名ヒロインでした。
単に兄ラブ妹ならテンプレに過ぎませんが…
余命いくばくも無い儚さ可憐さ、これもまだありがち…
だが！兄を救うべく健気にラスボス（父）に立ち向かい、卑劣な手に落ちてしまうという王道ヒロイン！
鈴と食事満喫するお茶目さ、流されている兄よりよっぽどしっかり作戦練っている頭脳、狂気を孕んだ決意等々…
他作品には中々見ないタイプの魅力満載な妹キャラでした。


この他十人衆やラスボスもそこそこキャラ立っていて好感持てるのですが、尺不足が残念。{/netabare}