りくりく さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
部活動としての音楽
冷めた性格の主人公が一人の少女との関わりの中で自分としての何かを掴んでいく青春吹奏楽物語。
第一話の{netabare}泣き顔にすごく引き込まれた。
特別になりたい、というすごく純粋な欲求に突き動かされていく{/netabare}姿は青春の情熱の激しさをうまく描写している。
熱中したいけれど後一歩が踏み出せない、誰もが持っているあの渇望を揺さぶり起こす情熱ドラマ。
一つの事に熱中して、何も振り返らずに駆け抜ける青春の心地よさを余す所なく表現している。
しかし、アニメではあるもののあらゆる面でリアリズムであると言える。背景や楽器全般は細かに書き込まれていて、オープニングで輝く金管楽器は素直に感動を呼んだ。
そしてなにより登場人物の心理描写が素晴らしい。誰もが純粋に夢を追える訳ではなく、部活動というコミュニティには非常に複雑な模様を写し出しており、一つとして同じものはない。
一人一人がそこに生きているような実感を伴った心理描写は否応なく視聴者を物語に引き込んでいく。
一番良かった所は情熱が全て、のような作成者側の押しつけがなく、一人一人のキャラクターの心を非常に大事に扱っている所だった。
一人一人に大切なものがあり、それは時には消して交わらない。しかし、それをありのままに受け止めていく。
キャラクターが生き生きとして、活力を与えられるような作品だった。