かしろん さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
消化しきれていない段階
空き地のような公園の横にあるボロ屋。
極彩色に塗られたその家に少年たちと少女は住んでいた。
高倉晶馬、冠葉、陽毬。3人兄妹だ。
仲良く肩を寄せ合い生きる3人だが、その生活に終わりが近づいていた。
病弱な陽毬に残された時間は、あとわずか・・・
ウテナの監督幾原邦彦が久々に送るオリジナルアニメーション。
正直、多用される抽象表現を自分の中で消化しきれていない。そんな段階でのレビュー。
物語:まず第1話での掴みが巧い。話の展開の速さ、ピクトグラム、地下鉄関連の表現、突然挿入される劇中歌にその演出。「これから何か起こる!」というのを予見させる素晴らしい1話。
だが、結局、24話かけて言いたかったことは「愛の絆」ということだけだったのかな、と思うと少しがっかり。
この物語に95年というベースがあるのは表現の通り。
95年は、オウムサリン事件、阪神・淡路大震災という大きな出来事があった。
また、別の年となるが、劇中表現として使われた「透明な存在」という言葉が出てくる酒鬼薔薇事件。
オウム裁判の全被告が結審し、阪神・淡路大震災以来の大災害東日本大震災が起きた今年のこのタイミングで、地下鉄サリン事件を彷彿とさせる事件を描き、その組織を描き、子供の個性を打ち消し「透明な存在」として育てる教育システムをこどもブロイラーとして描き、と過激な表現をしてきた割に、その着地方法はえらい軟着陸だなぁ、と。
いや、この時代だからこそ、「愛の絆」を訴えた結末に意味があるのか・・・
ただ、1話で期待しすぎた分、肩透かしを食らった感は拭い切れない。
作画:著名な方々が絵コンテをやられてるので比較すると面白いが、いくら何でもキャラ統一は図ってほしい。後藤圭二はクセがありすぎる。
声優:徐々に巧くはなっているが、最後まで棒っぽさは抜けきらず。
音楽:OP、ED、劇中歌含むA.R.Bの使い方と選曲。劇中曲総じて良かった。
最終話の結末をなんとなく感動出来るのはBGMのおかげだと思う。
キャラ:2クールだが登場人物は少なく個性的。
消化しきれてないからもう一度見たいんだが、なかなか「もう一度見よう」と踏み切れない。
監督がいう「普通にある日常の愛おしさ」みたいなのは、まどかが1クールで描ききったからなぁ・・・