ヲリノコトリ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
だから私はスタジオ六花(おすすめ!)
ちょっと偶然観ました。現在となってはweb上での公式な公開は終了。DVDの発売が待望されます。
日本アニメーター見本市というプロジェクト(?)の中の一作品。初めはぼーっと見てたんですが、ラストでびくっとなって詳細を調べました。すると制作:スタジオ六花。「サカサマのパテマ」の人たちだ!
ショートムービー。ストーリーとしては怪獣を拘束して発電している未来都市にロボットが舞い降りて、怪獣とバトル!……といったもの。私は何がCGとかセル画とかいまいち分かってませんが、なかなか壮大かつ精細な映像で見応え抜群。登場人物の服のデザインとかもSFの世界観を盛り上げててグッド。
怪獣で発電→怪獣が暴れて町が壊れる、というストーリーは原発事故など人間の制御できない力を人間が持ってしまっている現代の状況を暗示していると思われます。
でもそこじゃない!そこはどうでもいい!
ラストの一言です!ラストの一言!これが六花!だから私はスタジオ六花を推すのです!
{netabare} もう完全に「パテマ」も混ぜて話しますけど、六花の作品ってぱっと見だと「分かりやすく俗っぽい」んですよ。PP33なら「怪獣とロボット戦わせて、お色気シーン混ぜて、発電システムでアイデア賞(?)狙って。はいはいそういう作品ね、お上手お上手」って思った人いるでしょう。パテマなら「なるほどいいアイデアだね。だから手を繋いでなきゃいけないんだよね。はいはいご都合いちゃいちゃものだね乙乙」。
たしかに。
私たちはそういう作品にこれまで幾度も触れてきました。
だって、そのアイデアだけで作品は作れるから。
でも気が付いていますか!?六花はそこで終わってないんです。視聴者誰もが「ああ、このアイデアならこういう作品だな」と思うその一歩先を描いているんです。そしてそれを明示しない!だから舐めてかかった人はその真意に触れる間もなく「びみょー」の感想で終わっちゃうんです! {/netabare}
ラストの一言が無かったらこの作品はほぼ間違いなく私の心には引っかかりません。現に怪獣たちの戦闘シーンとかほぼよそ見してましたからね。「怪獣による発電というアイデア」「怪獣たちの戦闘シーン」「未来的かつさびれた街」「綺麗な作画」……という、それだけで通用する武器を多用しているにも関わらず、主人公がずっと考えていたことはそれらとは全く関係ない「最後のセリフ」だったわけです!
それが私にはどストライクだったんです。
……なんか褒めちぎった結果、ディスってる人をディスってるみたいな感じになっちゃったんですが……。あの、まあ感じ方は人それぞれなんで、ホント……すみません。
↓以下 作品考察(見てない人は開けない方がいいと思います)
{netabare} ・この作品は原発を否定しているのか?
どうなんでしょう。どっちともとれるんですよ。パッと見では街を破壊して去っていく怪獣……なので、やっぱ否定的なのかなって感じですが、電話が使えなくて困ってる人を描写しているあたり、「やっぱないと困るよね」みたいなこともいいたいのか。
でも私の願望としては、「どちらでもない」だといいなぁと思います。つまり、「原発危ないよね。でも電気ないと困るよね。まあそれはさておき、今日は暑いね」って感じだったらかっこいいなあと思います(笑)
・女の子は本当に「暑かった」のか?
これも微妙です。いや、「だったらお前のさっきの意見なんなの」って、感じなんですが。つまり、本当に「暑かった」から「暑かった」と言ったのか、それとも「暑かった」という言葉の裏にまた別の思いがあるのか、ってことですよね。別の思いっていうのはたとえば、怪獣たちの人知を超えた戦闘に魅了されて、体が思わず火照ったから「暑かった」という言葉で表現したとか。つまり本当は「暑かった」かどうかはどうでもいいんじゃないか、っていう意見。もちろんそれもあり得ますね。でももうそういう考察し始めた時点でもうめちゃくちゃハマってるんです。私。 {/netabare}